2020/02/29

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眠らない街と呼ばれる歓楽街の一角。

アサミが同じぐらいの背丈の男と固く抱き合い、キスをしていた。
2人の身長は160cm程度で、オシャレやファッションという単語を最初から知らないかのような風貌だった。

表通りから一歩奥に入った区画のようで、街灯はなく、微かに明かりが漏れてくる程度だった。

じっくりと、ゆったりと味わうように、目を閉じているアサミ。
喧騒から隔離されたような区画のためか、お互いを吸い合い、舐め合う音が聞こえてくるかのようだった。

どこからともなく流れてくる液体。
火のついたライターを持った人影が、静かに近づいてくる。

液体は2人の足元を濡らし始めていた。
人影はさり気なく一瞥し、素通りしていく。
手に握られていたライターはなくなっていた。

うっすらと目を開けるアサミ。
一瞬だったが人影と視線が交錯する。

投げ捨てられたライターが液体に触れた瞬間、激しく炎が燃え上がる。
獲物に襲いかかる猛獣のように2人を燃やし尽くす。