2020/03/25

06

ほぉ
低脳ども、これまでの炎が、いずれも、場所も時間帯も違うのに、よく同一人物がやったとわかったな。

ふむ
犯行手口が酷似している
犯行に同じ液体が使われている
犯行対象に一定の傾向が見られる
特に、ここ最近連続して起きた事件は、いずれも恋人関係にある男女に関係している
また、直近の事件は100人を収容できるラブホテルで発生し、且つ1015分程度で建物がほぼ全焼したことで、滞在者の9割が死亡し、1割が意識不明の重体となったことから、恋人関係という存在に、異常に強い殺意・恨み・憎しみ等を抱いている人物と思われる。

フッ、ノーコメントだ。

2020/03/21

05

燃え盛る火炎と黒煙に覆い尽くされている10階建ての建物。

その様子を遠くから眺めているblaze of nihil
少々勝ち誇ったような表情と笑みが浮かんでいた。


カウンター席が、20席ほど長方形状に設置されている飲食店。
席には、ニヤニヤしながらスマートフォンを眺めているblaze of nihilのみ。
スマートフォンの画面には、自身の戦果に等しい、10階建ての建物が紅蓮の炎と黒煙に覆い尽くされていく様が映っている動画が、リピート再生されていた。


フハハ!
これぞアートだ!
しかし、この動画をアップしたヤツ、とんだ暇人だな。
たかだか1分程度とはいえ、わざわざ見える場所でスマホを操作して、動画を撮って、という手間を惜しまないのだからな。
まぁ、だからこそSNSをやってない私の芸術作品が、瞬く間に世界各国に広まるのだがな。
ククク

2020/03/17

04

病院の一室と思われる白い室内。
規則正しく響く心電図の音。

白い掛け布団に包まれて、仰向けに横たわっているアサミ。
固く、深く閉じられた瞳以外は余すところなく包帯に覆われていた。


さり気なく一瞥してくるblaze of nihil
薄ら笑いを浮かべながら、歪んだ口元が微かに動く。

「虚無の、炎

激しく燃え上がる火柱。


時の流れ、空気の動きが止まっているかのような室内。
微動だにしないアサミ。

心電図の音は、規則正しく響いている。

2020/03/10

03

blaze of nihilは、私が以前SNSで利用していたハンドルネームだが、もはや、親という身近な他人につけられた姓名より、よほど私自身を表している。

なお、この身近な他人たちは、すでにこの世にいない。
なぜなら、虚無の炎に覆い尽くされて黄泉へ送り込まれたからだ。

無論、これも単なる事故だが、低脳どもは事件として捜査しているそうだ。

全く的外れも甚だしい

ちなみに、私だと特定するのは困難を極めるだろう。

なぜなら、SNSなどはすでに解約・退会済み、現場付近に防犯カメラの類がないことは事前に確認済み、目撃者も手薄で、且つ連中の死角から液体を流した。
そして、スマートフォンの電源は切ってある。

つまり、不用意に記録が残るリスクが限りなくゼロに近いということだ。
強いて言うなら、私の記憶には残っているが、それを調べるには脳波を測定できるような機械がなければ不可能だ。
そして、低脳どもの元にそのような機械があるとは思えない。

そんなところだ。

2020/03/06

02

殺人事件として捜査する?

わかってないな。
これだから低脳どもは

これは事件などではない。
単なる事故だ。

確かに、この私blaze of nihilは揮発性の高い液体を流しはした。
だが、あの2人に殺意を抱いてたわけではない。
恨みがあったわけでもない。

いずれは迎える死への橋渡しをしたにすぎない。
時期が早いとか遅いとかは関係なかろう?

なぜなら、生と死は背中合わせなのだから

2020/03/03

01

紅蓮の炎を背に歩いてくる人影。
風貌や身長は犠牲者たちと似たり寄ったりで、瞬き1つしない無機質な眼差しに、口元に薄ら笑いを浮かべた20代半ばから後半ぐらいの男だった。

「形あるものは、時の経過とともに老朽化し、滅んでゆく
 生あるものも同様に、死にゆく
 つまり、存在自体が無意味、ということだ
 おまえたちの行為や存在も同様だ
 よって、このまま灰と化すのは必然なのだ
 ククク

2人は全身に激しい火傷を負い、アサミは一命を取り留めたものの意識不明の重体となり、片割れは帰らぬ人となった。

2020/02/29

00

眠らない街と呼ばれる歓楽街の一角。

アサミが同じぐらいの背丈の男と固く抱き合い、キスをしていた。
2人の身長は160cm程度で、オシャレやファッションという単語を最初から知らないかのような風貌だった。

表通りから一歩奥に入った区画のようで、街灯はなく、微かに明かりが漏れてくる程度だった。

じっくりと、ゆったりと味わうように、目を閉じているアサミ。
喧騒から隔離されたような区画のためか、お互いを吸い合い、舐め合う音が聞こえてくるかのようだった。

どこからともなく流れてくる液体。
火のついたライターを持った人影が、静かに近づいてくる。

液体は2人の足元を濡らし始めていた。
人影はさり気なく一瞥し、素通りしていく。
手に握られていたライターはなくなっていた。

うっすらと目を開けるアサミ。
一瞬だったが人影と視線が交錯する。

投げ捨てられたライターが液体に触れた瞬間、激しく炎が燃え上がる。
獲物に襲いかかる猛獣のように2人を燃やし尽くす。