2019/12/03

そして絶望へ10


眠っている2人。
部屋の明かりはいつの間にか消えていた。

壁が横にスライドし、外の明かりが2人を照らす。
人影が2つ。

顔をしかめて少しずつ目を開けていくユカ。

「ふ、おまえは比較的寝起きがいいようだな」

警官の声。
顔をしかめるものの、目は開けられない様子のオリエ。
部屋の明かりが点いていく。

「今回はおまえの相手を連れてきた」

体を起こすユカ。
ようやく目を開けていくオリエ。

「!!。ダイジロウ!?」

警官の隣には、ダイジロウと全く同じ顔をした男がいた。
しかし、ユカの呼びかけには無反応だった。

「ふ、この男はおまえが愛したダイジロウではない。顔だけ遺伝子操作で同じにしてあるだけだ」


眠そうに体を起こすオリエ。

「さて、では聞かれてないことだが、おまえの方が薬が強かったのは、妊娠してないかを調べるためだ」

やっぱり」

「で、その結果、じき妊娠する兆候があったため、取り除かせてもらった」

「ダイジロウが草食系な感じだったから、ですか?」

「いかにも。これはおまえに限った話ではなく、草食系の遺伝子を身篭っていた女性たちは、全て同じように取り除いている」


「少なくとも顔が同じなら、多少は受け入れやすいだろう?」

はい」

「ちょ!いいの?それで」

「ふ、相変わらずだな。この状況でいいも悪いもなかろう」


「さぁ、行こうか」

ダイジロウの顔をした男がユカに手を差し出す。
微笑して、その手を握るユカ。
顔をしかめるものの、何もできない様子のオリエ。

そのまま男と連れ立って行くユカ。

「言うまでもなく次はおまえの番だが、少々日が開くかもしれない。どの男を当てがうか、選定に時間がかかりそうなのでな」

「あまり、時間を開けない方がいいかもよ」

「ほぉ、それはここから脱出するという意味か?」

「言わなくてもわかるんじゃなかったの?」

「ふ、よかろう。やれるものならやってみるがいい。この部屋は敢えて施錠しないでおこう」

不敵な笑みを浮かべて部屋を後にする警官。


ダイジロウと似て非なる男にしがみついているユカ。
その指は、筋肉質の背中に食い込むほど力が入っていた。

大粒の汗で光る肢体。
ユカは甲高い声をあげながら、体を上下左右に揺らしており、顔は同じように不規則に揺れていた。
閉じられた目からは涙がこぼれ、頬を止めどなく流れている。