「それでようやく2人は、初対面したってわけか…」
「ああ」
例の隠れ家的なカフェに集っている3名。
並んでいるグラスには、オレンジ・水色・無色透明の液体がそれぞれ満たされていた。
タブレットを操作している警官。
長髪は水色の液体を飲み始める。
「しかし、よく気づかれなかったな」
「どうだろうな。動画を見てもらえばわかると思うが、この女、時々カメラ目線になる」
タブレットに、オリエとマサヨシの後ろ姿が映っている。
場所は、雰囲気が良いとは言い難い、少々雑然とした様子のカフェと思われた。
スキンヘッドはオレンジの液体を、警官は無色透明の液体を飲み始める。
「確かに今カメラ目線になったな」
「だが、すぐに男の方に視線と顔を向けた。となると、大丈夫と見ていいだろうな」
「そうだな。当日は自然さを装って、スマホで動画を撮り続けてた。言うまでもなく私服でな」
「しかし、この男、思ったより重症だな。この手のセッティングで、女を壁側に座らせるとは」
「ただ、今後の展開を占う意味では絶妙なセッティングだ。なぜなら、この手の決定権は女にあることが大半だからな」
「ああ、間違いない。だとすると、これはかなり難しいだろうな」
「そうだな。この女、全く目の前の男に集中してないな」
「カメラ目線以外にも、通行人がいればそっちに視線を移したり、よく下を向いたり、そして、苦笑いばかりだな」
「しかも、口元は笑っていても目が笑ってない。ひどいと笑いながら通行人を見てたりしてるな」
…
空になった3つのグラス。
「さて、この2人はもうこれ以上関係が進展しないと思われるが、どうだ?」
「同感だ」
「ということは、近日中にやるのか?」
「もちろん。役に立たない男は消す。多少なりとも使えそうなヤツは、ひとまず残しておく。これが我々の任務だからな」
…