とあるカフェのテーブル席で、スキンヘッドがガラパゴスを操作している。
空になった、酒が入っていたと思われる長めのグラスが1個。
知る人ぞ知る隠れ家的な場所で、夜間という時間帯のせいか、客はこの男のみだった。
全体的にアンティークな造りで、陳列されている小物も同様。
そして、暗めの照明。
BGMもかかっていなかった。
ほぼ確実に経営者の趣味と思われるような佇まいだったが、タンクトップのスキンヘッドがいても不思議と違和感はなかった。
「ずいぶん珍しい場所だな」
長髪と私服姿の、事件現場に居合わせた警官と見た目が酷似した男がやってくる。
「俺は、わりとこういうとこ好きだがな」
ニヤニヤしながらガラパゴスから目を離し、2人を一瞥するスキンヘッド。
「例のヤツは、そろそろ動くのか?」
「ああ、そのつもりだ。そっちがもう少し距離が縮まってからとも思ったんだが、アレだとメッセージのやり取りだけで満足してる感があるからな」
「間違いない。俺も、そろそろ何かしらキッカケが必要だと思ってたところだ」
「ということで警官さん、あんたにも手伝ってほしいんだが?」
「構わない。だから呼んだのだろう?」
「もちろん。さて、これから具体的な話だが、その前にせっかく来たんだから、1杯ぐらいなんか飲みな」
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