時を同じくして、マサヨシが少々放心気味な様子で、人気のない大通りを歩いている。
状況の整理ができないでいると思われた。
…
「ハンドルネームo.r.i.e_dayonを知っているな?」
「…」
「あらかじめ言っておくが、我々はお前がブログをやっていることも、どんな内容かも、コメント者も把握済みだ」
「…名前ぐらいなら」
「では、まずは本人と実際に会って、関係を深めてもらおう」
「どう、やって?」
「もう少し見所があると思ったんだが、まぁいいだろう。いきなりメッセージを送っても上手くいかないことぐらいはわかるな?」
「それは確かに…」
「実は今日の早朝に、このo.r.i.e_dayonが住んでいるアパートで遺棄されたと思われる死体が発見された」
「なんだって!?」
「ここまで言えば、どうすればいいかわかるな?」
「…ああ、なんとなく…」
「上手くいけば、これまでと違った反応があるはずだ」
ワゴン車のドアが開かれる。
「この道を、ワゴン車の進行方向と反対に向かって行くがいい」
「…」
「言うまでもないが、今回の件はみだりにブログやSNSで公開しないこと。仮に公開したら、我々は即時に把握できる。そうなったら、命はないと思え」
「…」