2019/04/12

任務進行中00


乗客の疎らな列車内。
かつては、特定の時間帯や鉄道会社のみによる現象だったが、現在は混み合うことの方が稀だった。

列車外は、夜のようで、黒地に所々明かりが混じっているような景観だった。

その車両の乗客は5人だった。
ドア付近に立ち、面白くなさそうにスマートフォンを見ながら、時折車外やほかの乗客を眺めているオリエ。

残りの3人は離れた座席に座っており、1人はドア付近に立っていた。
ちょうど冬から春へ移行しつつある季節柄、身に着けるものに差が出やすい時期ではあるが、この人物は、鍛え上げられた腕やタトゥー、そして上半身を誇示するかのようなタンクトップ姿のオトコだった。
身長は170175cm程度だったが、スキンヘッドということもあり、人目につきやすい風貌ではあった。
スマートフォンを見ながら、ほとんど瞬きをしないガラス玉のような目で、時折対面の座席に座っているユカとダイジロウの様子をそれとなく観察していた。

彼らは恋人同士のようで、固く手をつないでおり、体の密着度も高かった。
お揃いの黒縁メガネや、肌の露出がほぼ皆無に等しい色合いも地味な服装、草食動物のような円らな瞳。
元々は他人同士だったはずが、まるで同一人物が2人いるかのようだった。

オリエも似たような風貌だったが、相違点は黒縁メガネをかけていないこと、服装の色合いがメディアからの受け折りだということだった。

そこから少々離れた座席では、マサヨシが顔をしかめながらノートパソコンと睨めっこをしていた。
全体的に、メディアの情報やファッションセンスからはほど遠い風貌で、その眼差しには怒りや憎しみ、そして苛立ちが混じり合った負の光が、松明やランタンの炎のように宿っていた。

停車駅が近づいているのか減速し始める列車。
最寄駅なのか、ユカとダイジロウが一緒に立ち上がりドアに近づいていく。
その様子をスキンヘッドが一瞥する。