2019/04/09

始動02


栄枯盛衰は世の常でもある。
右肩上がりの時期があれば、必ずその逆もある。

この孤島も例外ではなく、戦後7080年の頃から徐々に成長に翳りが出始めだした。
輸出先が次第に豊かになり始め、これまで以上の性能や品質を求め始めたのである。
無論、国内も同様だった。

そうなると、否が応でも原材料・製造コストが上がり、製造過程の複雑化により納期遅れも出やすくなる。

とはいえ、これらコストを価格へ必要以上に上乗せすると、消費者から不必要な苦情が増え、その対処にまたコストがかかるため、断念せざるを得ない企業が増えていく。

その結果、企業の売買による粗利率も目減りしていく悪循環しか生み出されない。

しかし、まだ成長曲線上では安定期で、且つ全国民の暮らし向きに困窮さが出ているわけではなかったため、確実に迫る衰退が肌感覚で感じにくい状態でもあった。

それどころか、2030年頃前から急速に発達し出したITAIで再び成長期になるとさえ言い出す連中もいた。

連中の言い分はこうだ。

ITAIにルーチンワークを委ねれば、その分コストが浮き、これまで以上に安価で高品質な商品が出来上がる。
携わっていた人間も時間がより増えるようになる。
その結果売れ行きがよくなり、粗利も増える。
この好循環によって、再び成長期が訪れる。

これが妄言虚言であり、詭弁でもあることに誰しもが気がつくまでに、それほど時間はかからなかった。