2019/01/12

Ω-01


え!?
ここ、が??

そなたには、今鳴り始めたあの鐘の音が聞こえるな?

はい。
……だから、ですか?
あたしに、あの地震が起きてから、あの鐘の音が聞こえるようになったのは。

いかにも。
あの鐘は、この世界の者もしくは私のように行き来できる者にしか聞こえないのだ。

でも、だったらなんで、生の世界にいたあたしとかタカシに聞こえたんですか?
この世界に身を置いてないと、聞こえないんじゃないかって思ったんですけど。

本来ならそうだ。
しかし、そなたらは自らの意思で生の世界に留まったのだ。
なんらかの強烈な未練があったと推察されるが、どうだろう?

言われてみれば、そうかもです。
ご存知かも、ですけど、あたし、地震があったとき、お母さんにあり得ないぐらいぶたれてて、てかむしろ殴られてて、そのときにスッゴイ揺れて、吹っ飛んじゃったんです。

それで気がついたら、片足が不自由になっていたものの一命を取り留めたと思った。
そういうことだな。

はい。
でも、本当はそんなんじゃなくて、死んでるはずだった。
ってことですよね?

もしくは、この世界の住人となって彷徨い続けているか、だな。

あたし、なんかよくわかんないですけど、いつもお母さんから殴られてるとき、死んじゃえばどんなにラクか、って思う自分と、いやこんなんじゃ死ねない、死にたくない、死んでも死にきれない!!って思う自分がいたんです。

それは溢れんばかりの生への執着だな。
まだ、見果てぬ物事への渇望だろう。

えっ、と。

そなたにとって、まだ見たことがないこと、経験したことがないことを見てみたい、経験してみたい、ということだ。

はい、そんな感じです。