「そりゃそうだけどさ…」
「たぶん、あたしがこう考えるのは、厳しめの家庭で反発とかせずに生きてきたからだと思う」
「あ~、なるほど。てか、それだったらあたしも似たような感じだったけど、あたしは反発しまくってたな。だから、学校出たらサッサと一人暮らししちゃった」
「うん、そんな気がする」
「え、もしかして彼氏も親が紹介してきたとか?」
「いや、さすがにそれはあたしが好きになった人だったよ。同じ学校で、そのときから付き合ってた」
「あ~、じゃあ、もう結婚秒読みな感じだった?」
「うん。殺されちゃう前の日、ひょっとしたら聞かれちゃってたかもだけど、彼氏としてて、初めて付けずにしてたんだ」
「結構思い切った感じじゃん。あたしは無理だな。絶対結婚してからだな。それも、生まれてきた子供が不自由しない状態になってからじゃないと無理かな」
「確かにね。ただ、それだと何年かかるかわかんないし、子供が生まれてからも働かないとやってけないことに変わりはないし、それに彼氏のこと大好きだったし」
「それだったら全然いいと思う。でも、それだったらなんでアイツら、あなたもさらってきたんだろ?だってさ、できちゃってる可能性が高いわけじゃん?」
「あれかな…。あたしの彼氏、草食系な感じだったからかな?」
「あ~、だったら辻褄合いそう」
「てことは、あたしの方が薬が強めだったのは、妊娠してるかを調べるためかなぁ」
「たぶん、そんな気がする」
「…」
「まぁ、考えてもしょうがないじゃん。どうせまた近いうちに連中が来て、聞いてもないことまで話してくれると思うし」
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