2019/08/27

任務進行中21


ここ最近の不穏な状況とは裏腹に天気は良く、今日も快晴だった。
余裕がなさそうな様子でアパートを後にするオリエも、これまでと同様だった。

唯一の相違点は、アパートを後にしたオリエを、物陰からスキンヘッドが瞬き1つせずに凝視していたことだった。


「ハンドルネームmasa_yo.s.h.i.99

驚いたように振り返るマサヨシ。
ちょうど自宅エントランス前だった。

おそらく、近くの物陰に潜んでいたと思われる長髪だった。
夜ということもあり、どこに潜んでいたかまでは確認できなかった。

「用件だけ言おう。近日中、もしかすると今日中かもしれんが、o.r.i.e_dayonから、怪しいヤツに付きまとわれている、という趣旨のメッセージが来るはずだ」

「なんだって!?」

「ここまで言えば、どうすればいいかわかるな?」


「確実なことは、もうメッセージのやり取りだけで満足していてはダメだ、ということだ。いいな?」

わかった、よ」



落ち着かない様子で、何度も振り返りながら自宅への夜道を歩いているオリエ。
一定の距離感で付いてくるスキンヘッドが、その都度視界に入るのだから無理もない。

全速力で走り出すオリエ。

立ち止まり、薄ら笑いを浮かべるスキンヘッド。

2019/08/23

任務進行中20


『タイトル:いったい何が目的なんだ?』

『本文:先日首無しの遺体が発見されたアパートで、住人の女性が何者かに誘拐され、行方がわからなくなっているらしい。
犯行時目撃者はいなかったらしいが、警察の調べによると、この女性は遺体が遺棄された部屋の住人だそうだ。

おそらく、2030代の女子が行方不明になり続けてるっていう事件の一環な気がするが、わざわざ相手を亡き者にしてまで拐う意図は、どこにある?
これまでは、元から相手のいない女子ばかりだったらしいから尚更だ。

いずれにしても、これも早く解決してほしいもんだ

『件名:o.r.i.e_dayonさんからメッセージがあります』
『本文:やっぱりそうだったんだ
実は、あたし見ちゃったんだ。この現場を
なんか、怪しげなスキンヘッドの男が女の人をワゴン車に運び込んで、そのまま走り去ってた

『件名:masa_yo.s.h.i.99さんからメッセージがあります』
『本文:マジ?警察に通報はした感じ?』

『件名:o.r.i.e_dayonさんからメッセージがあります』
『本文:いや、あたしが目撃したとき、偶然警官が通りかかって、って感じだったから。それに遠かったから、どうすることもできなかったし』

『件名:masa_yo.s.h.i.99さんからメッセージがあります』
『本文:ああ、そういうことか。まぁ、警官が見てたんだったら、案外サクッと犯人捕まるんじゃね?』

『件名:o.r.i.e_dayonさんからメッセージがあります』
『本文:うん、だといいね』

2019/08/17

任務進行中19


列車内で十分に睡眠を取ったと思われるものの、疲弊しきった様子のオリエ。
しかし、遠めでも怪しげなスキンヘッドが、動かなくなったユカを抱きかかえ、停めてあったワゴン車に運び込んでいるのを見逃すほどではなかった。


「どうかされましたか?」

驚いたように振り返るオリエ。
先日エントランス前にいた、無機質な目をした警官だった。

「あ、いや

「もしかして、今走り去ったあのワゴン車ですか?」

「はい。見ちゃったんです。怪しそうなスキンヘッドの男が、たぶん女の人を、ワゴン車に運び込んでるのを

「そうでしたか。その女の人は、あのアパートの住人でしたか?正確に言うと、あのアパートから、その怪しげな男が運び込んでましたか?」

「いや、そこまでは

「わかりました。そういえば、先日あのアパートで起きた死体遺棄事件も、捜査を進めたところワゴン車で死体が運び込まれたようなんです」

「さっきのワゴン車かも、って感じですか?」

「その可能性もあります。ただ、まだ車種を含め詳細不明な状態なので、これからです」

「そうですか

「では失礼します」

2019/08/10

任務進行中18


列車内の座席で、少々のことでは目覚めない様子で寝ているオリエ。
乗客は、このオリエとユカのみだった。

ユカはドア付近に立っており、外を眺めていた。
愛する者を奪われてから、その表情には影が色濃く出るようになった。

外は、そのような心象風景を写しているかのような夜だった。


ユカは、ビジネスホテルで暮らすようになっても定期的にアパートに出入りしていた。
あまりにも急だったため、私物の持ち出しがほとんどできていなかったのだ。

この日も私物の持ち出しに訪れていた。
エントランスの鍵を開けようとしていたところを、物陰に潜んでいたスキンヘッドが背後から厚めの布で口と鼻を塞ぐ。

「!?」

大きく目を見開いていたが、薬を嗅がされたようで、程なくして脱力したように目を閉じていく。