2019/06/21

任務進行中11


うっすらと目を開けていくマサヨシ。


ワゴン車内のようだった。

「気がついたか?」

長髪の声。

……ここは?」

「答える必要はない。強いて言うなら、お前の住まいではない、ということだ」

俺をどうするつもりだ?」

「国の役に立ってもらう。この右肩下がりのな」

……なんで、俺なんだ?」

「まだ国に貢献できる可能性があると見做したからだ。もちろん、無能な連中たちは随時始末してるがな」

まさか、ここ最近の殺人じゃないだろうな?」

「ノーコメントだ」


「さて、そろそろ本題だ」

2019/06/19

任務進行中10


夜が明ける。
昨日同様、空が色鮮やかな快晴だった。

しかし、決定的な相違点があった。

片割れが残された愛の巣の、ちょうど雨戸が開けられると真っ先に目に付く場所に、首無し死体が横たわっていた。
服装や体型からすると、行方不明となっていたダイジロウのようだった。

生垣に囲まれた場所のため、道路から見えにくく、まだ誰にも発見されていないようだった。

騒々しく住まいを後にするオリエ。
髪は乱れており、目の下にはドス黒いクマができていた。


ゆっくりと目を開けていくユカ。
室内は、雨戸から漏れてくる日光で多少なりとも明るくなっていた。


少々寝ぼけた様子で、道路に面していない側の雨戸を開けるユカ。

「!?」

その場に、胸を劈くような金切り声が響き渡ったのは言うまでもない。

2019/06/07

任務進行中09


家路に向かっているマサヨシ。
自宅エントランスに、まるで予測していたかのように待機している長髪の姿。
近くにはワゴン車も止まっていた。

「待ってたぞ。マサヨシ」

ちょうど、マサヨシが見て見ぬ振りをしてエントランスを開けようとしていたタイミングだった。

「もっと言おう。ハンドルネームmasa_yo.s.h.i.99

手を止めるマサヨシ。

……なぜ、それを?あんた、なにもんだ?」

長髪に顔を向けるが、姿が見えない。

「!?」

長髪の膝がマサヨシの胸辺りに減り込んでいる。

「答える必要はない」

目を見開いていたが、そのまま失神したように崩れ落ちるマサヨシ。

「相変わらず手荒だな」

ワゴン車の運転席から出てくるスキンヘッド。

「内臓や骨が損傷しない箇所を打ったから問題ない。そっちは終わったか?」

後部の辺りを顎でしゃくり、薄ら笑いを浮かべるスキンヘッド。

「見るか?」

「いや、いい」

薄ら笑いを浮かべ、マサヨシを車内に運び込む長髪。

2019/06/05

任務進行中08


1つない快晴。
空の色は濃く、コバルトブルーのようだった。

慌てふためいた様子で、周りに響き渡るような音で階段を降り、そのままアパートから飛び出して、全力で走っていく大きな荷物を抱えたオリエ。

1015分後、仲睦まじい様子のユカとダイジロウが姿を見せる。
ダイジロウは、恋人に軽く口づけをし、オリエと対照的な様子でアパートを後にする。
ユカは、エントランス前で最愛の存在を見送り、見えなくなったのを見届け次第、戻っていく。


時刻は20時頃。
疲弊しきった様子のオリエがやってきて、色々と苦戦しながらエントランスを開け、手枷足枷を嵌められた囚人のような動きで階段を上がっていく。
一挙手一投足が容易に想像がつくような音をたてながら。

不安げにスマートフォンを眺めているユカ。
メッセンジャーアプリの画面。
送信したメッセージを相手が確認すると、『既読』と表示されるようになっているが、ユカが午前中に送信したメッセージが、未だに『既読』と表示されていなかった。