2019/05/24

任務進行中07


間接照明に覆われた室内で、全てを終えたユカとダイジロウが、互いを確かめ合うように、感じ合うように抱き合い、安らかに眠っている。


金属的な通知音とともに、スマートフォンにアイコンが表示される。
マサヨシからコメントがあったようだった。

真っ暗な室内が一部、スマートフォンの発光でロウソクのように明るくなる。

『氏名:masa_yo.s.h.i.99

『本文:o.r.i.e_dayonさん
そうですね
その可能性は確かにあるかもです
長引いてるってのと、いつもほぼ同じタイミングでこの2つの事件が起こってる気がしたので、もしかしたらって思ったわけです』

即座に目を覚まし、表情をほころばせ、内容を確認しながら何度も頷くオリエ。

2019/05/17

任務進行中06


携帯電話が鳴る。
長髪が取り出したのは、2つ折りの、スマートフォンではない、ガラパゴスと揶揄される機種だった。

「なんだ?」

特に相手を確かめずに、歩きながら電話に出る。
線路沿いの、ちょうど街灯のない場所。
携帯電話の明かりで、無機質な表情が妖しく光っている。


「ターゲットの居場所は特定できたか?」

スキンヘッドも歩きながら、2つ折りではなかったが、ガラパゴスを耳に当てていた。
閑静な住宅街。
同様に明かりに照らされる表情は、長髪と瓜二つだった。

「ああ、もちろん。そっちはどうだ?まぁ、聞くまでもないと思うが」

「もちろん、なんの問題もない。なので、近日中に決行予定だ」

「了解」

無機質な表情に薄ら笑いが浮かんでいく。

2019/05/11

任務進行中05


マサヨシの部屋も、布団が敷きっぱなしという以外は、オリエの部屋とよく似ていた。

持っていたノートパソコンがLANケーブルとそのまま繋がっており、画面と睨めっこしたり、何やら入力をしているマサヨシ。
Wi-Fi接続が主流の時代にも関わらず、ルーターはなく、電話回線の設備を流用したVDSL回線を利用しているようで、LANケーブルはモデムと直接繋がっていた。

画面には、ブログもしくは掲示板と思われる内容が表示されている。

『タイトル:マジゆるせねぇ

『本文:昨日起きた10人が殺されたっていう事件もだが、どうも一説によると、草食系男子ばっかり狙われてるらしい。
いったい、どこのどいつがなんのために?
草食系を排除しようってのか?
しかし、これだけ似たような事件ばっか起きてるのに、犯人の目星すらついてないってのはハッキリ言ってありえねぇ
てか、この感じだとそのうちもっと人数増えて、一気に1000人とか10000人とかが死ぬことも十分ありえるぜ

そういや、2030代の女子が行方不明になり続けてるらしい。
この事件と関連があるか謎だが


不機嫌そうに床に耳を当てているオリエ。
営みの儀式が全て終わったのか、階下からは何も聞こえてこなくなる。

金属的な通知音。
放り出されたスマートフォンに、ブログの更新を知らせるアイコンが表示されていた。

面白くなさそうに体を起こし、スマートフォンを手に取るオリエ。
通知を見て少々表情がほころび、そのままタップする。
画面には、マサヨシが書いた内容が表示される。

一通り目視後、コメント欄に文字入力をし始める。

『氏名:o.r.i.e_dayon

『本文:あの事件マジエグいですよね
でも、実は目的なんてなかったりするかもですね
ただの愉快犯な感じかもです

あ~、行方不明のヤツは、続いてるっていう意味では共通点ですけど、どうなんでしょう
ちょっとわかんないですね』


パソコンの画面右下に、メールの受信を知らせるアイコンが表示される。
『件名:o.r.i.e_dayonさんからコメントがありました』

少々表情をほころばせ、受信されたメールを確認するマサヨシ。
メールには、オリエからのコメントが載っている。

2019/05/03

任務進行中04


1人列車に乗っていたマサヨシは、さらに30分ほど離れた駅で降り、線路沿いを歩いている。
先の3人が降りた場所より人通りは少なく、街灯の配置も少なかった。
その後ろを、一定の距離を保って歩いてくる例のスキンヘッドと風貌が似た男。
相違点は、肩まで伸びる長髪だった。

マサヨシは全く意に介する様子はなく、そのまま左側に見える5階建の5060世帯規模の鉄筋造マンションへ入っていく。

長髪は、スキンヘッドと同様、スマートフォンでマサヨシの写真や動画を撮っていた。
念のためという体で、エレベーターに乗っている様、どの階で降りたかというところも収め、立ち去る。