辺りは夜の色に染まっていた。
しかし月明かりのためか、黒く塗りつぶされるほどではなかった。
苦しそうに息をしていたタカシが静かになり、そのまま目を閉じる。
その様子を見て、安心したようにタカシに体を預け、目を閉じるアヤカ。
…
強めの日差しが2人の寝顔を照らす。
ゆっくりと目を開けていくアヤカ。
もう朝かぁ…
なんか、目閉じたらいつの間にか寝ちゃってたし。
固く目を閉じたまま微動だにしないタカシ。
日光に照らされたその顔色は、蒼白に近かった。
でも、天気は良さそう。
ね、タカシ。
無反応なタカシ。
タカシ?
ねぇ…、ねぇってば。
激しくタカシを揺さぶるアヤカ。
無反応なまま、力無く俯せに倒れるタカシ。
そのまま微動だにしない。
…ねぇ、約束、したじゃん…
一緒に、鐘の場所、見に行くって…
なのに…
なのに……
膝から崩れ落ち、地面を何度も叩きながら悲しみの高音をあげるアヤカ。
タカシを照らす光は、優しく、そして温かだった。
辺りには、慟哭がひたすら反響し続ける。