2018/06/24

Α-21


大っきい通りも、車全然通ってなかったね

ああ。逆に走るとしたら、それなりにスピードも出るから、死にたいヤツがどんどん飛び込むだろうし。

確かに

それに、そもそも車を運転する連中自体がいないんだろうな。

うん
そういえば、電車も同じぐらい通ってなかったね

まぁ、車と同じような理由だろうな。

なんで、道路とか線路、なくさないんだろう
使ってないんだったら、あっても意味ないと思うし

このままの状態が続くんだったら、いずれはなくすんだろうな。
つっても、作るのにそれなりに時間かけたり、簡単に壊れないようにしてるだろうから、今すぐってのは無理だろう。
あと、そもそもなくすための作業ができる連中をどんだけ確保できるか?
ってのもあるしな。

うん
こうしてる間にも、どっかで誰かが肉になっちゃってると思うし

町だったらカラスの食料だし、この森だったら俺らの食料だしな。

やっぱし、天気いいから、死にたいってならないのかな
今日も、まだ肉ないね

そうかもな。
肉あったときは曇ってた気がする。

いつも曇ってればいいのに

ないもんはしょうがねぇから、木の実でも探しに行こうぜ。
肉ほど腹の足しにはならんかもだけど、このままだと俺らが肉になっちまう。

うん。


2018/06/21

Α-20


ホントだ
タカシの言ってたとおりだね

だろ?

あり得ないぐらい静かだし、コンビニとか専門店みたいなのがポツン・ポツンとしかないし
すごい天気いいのに

ああ。人がいないわりにカラスはメッチャいるけどな。

そうだね

そういや、今まで町で人食ったことある?

ないよ。
誰かに見つかっちゃったら、この足だと厳しいし
それに、肉が転がってること自体、そんなにないと思ってたし

2018/06/14

Α-19

…すごかった、ね。

ああ。あんだけのカラスがああいうことをやってるのは、そうお目にかかることはねぇ…

うん…

それはそうと、いつの間にかあのアパートにもドローンが仕掛けられてた。

あの、模型飛行機みたいなの?

だな。あんだけ小さくても、人間なんて一瞬で殺せるだけの機能が内蔵されてる。モノによっちゃ、一瞬で体を溶かせる機能が内蔵されてることすらある。

そうなんだ…

あれも不法入居しようとしたところを、ドローンにやられたんだろうな。
ただ原型を留めてたってことは、溶かす機能までは内蔵されてないってことだろう…

2018/06/13

Α-18


1つない青空。
タカシのアパートが見えてくる。

「なんか、今日は空の色が濃いよね」

「ああ、確かに」

「でも、相変わらず静かすぎだよね

「まぁ、こういう天気だともっと活気みたいなのがって、ん?」

「どうしたの?」

「あれ

エントランス付近に、何かを啄んでいる様子のカラスの大群。
アパートの回りを規則正しく巡回している無人機が見える。


2人が近づいても、意に介さない様子のカラスたち。
人間の手足と思われる白骨が見える。

見て見ぬ振りをして通り過ぎる2人。

2018/06/11

Α-17


なら、なんで行ってたかっていうと、1番身近な他人である親を黙らせるためさ。

そうなんだ

世代的なものもあるかもだけど、クソの役にも立たねぇ学歴が全てだとか言ってる時点で、拘るポイントは余裕でわかったしな。

確かに

だから、学校なんて、所詮行くことに意義があるっていうだけの存在だったわけよ。

あたしも同じかな
と言っても小学校だけど

まぁ、その辺は学校って時点で、小学だろうが高校だろうが変わんねぇと思う。

やっぱ、そうだよね
タカシは、お母さんもお父さんも、ちゃんといた感じ?

一応は。
つっても、あくまで形式上だったな。
母親にあたるあの女は、自分に経済力があったら離婚してるって、いつもほざいてた。
結婚したこと自体がそもそも間違いだったとも抜かしてた。
だったらなぜ?って思うわけよ。

あたしは、生まれてから、1度もお父さんの顔、見たことがないんだ
で、お母さんにそのことを聞くと、いつもぶたれた
わけわかんないことわめきながら、全力でぶたれた
それ以外にも、なんの理由もなく、ぶたれることもたくさんあった
でも、お母さん、いつも泣いてた

マジか

だから、いつも顔は傷だらけで、ひどいときは目の周りも腫れてたりしたから、学校では、みんなからいちいち色々言われて、行ったように見せかけて行かなかったことの方が多かった

施設の話は出た?

うん。でも、断ってた
あたしは、お母さんの側にいてあげたかったんだ
いつも、あたしより早く出て、すごい疲れた感じで、あたしよりも遅く帰ってきてた
帰ってきて、着替えてすぐにまたどっかに行っちゃうことも多かった
そういうとき、いつもケバくて、露出度の高いカッコしてた

なんとか自力でアヤカを育てようとしてたんだろうな

そうだと思う。
だから、あたしにできることはないかって、考えてもみたけど、何もできないってことがわかったので、邪魔にならないように、手を煩わせないようにしてた

俺だったら、耐えらんねぇな。
確実にやり返してるだろうし、施設に避難すると思う。
アヤカは優しい、ていうか情が深い気がする。

そう、なのかな?
言われるまで、考えたことなかったな

俺含め、たいていのヤツはそこまで見られんと思う。
見る余裕もねぇだろうし。
自分のことだけでいっぱいいっぱいになるはずだし。

それは、そうかも

夜明け、か。今日も晴れだな。

眩しい
でも、キレイ

2018/06/06

Α-16

そろそろ、夜明け前かな?
なんか、全体的に明るくなってきたね…
月が見えなくなって、さっきまでタカシの顔も見えないぐらい暗かったけど…

ああ、たぶん。

ねぇ…
タカシのこと、聞いてもいい?

ああ…
どっから話せばいい?

う〜ん…

俺は…
アヤカとはだいぶ年離れてるかもだけど、27歳なんだ。
夢も希望も、何もない27年間だった…
何のために生き、何のために死ぬのか、って自問自答しない日はなかった。

そうなんだ…
あたしは、あの地震のとき12だった…

じゃあ、10歳ぐらい離れてるな。

たぶん、そうだね…
あたし、あれから、自分の歳とか、何年生きてるとか、考えたことないから…

まぁ、そうだよな。

タカシは、学校は、やっぱり高校とか大学とか行ってたの?

ああ、両方とも行ってたし、一応卒業もしてる。
でも、ほとんど意味なかった。
生きてくのに必要なものは何も得られなかったしな。

そっかぁ…