2018/04/28

Α-11


暗く、なってきたね

ああ。
この感じだと、今日は肉はお預けかねぇ

かもね

こういうときってどうしてた?
木の実でも食ってたとか?

うん
あたし、あの地震で足やられちゃったから、もし盗みに入ったときに見つかったら、逃げ遅れちゃうと思うし

まぁ、確かに。

ねぇ、昨日は、なんでここに来ようと思ったの?
もしかして、死のうとしてた?

いや、そこまで考えてなかった。
ただ、なんとなくって感じで、アヤカを見かけたのも偶然だった。

そうなんだ

肉にありつけてもありつけなくても、アヤカに会えても会えなくても、どっちでもよかった。
そんな感じ。

そっかぁ


ねぇ
夜になる前に、タカシん家に行きたいな

電気もガスも止まってるぜ?
水は出ると思うけど、そもそも何もねぇぞ?

うん、そんなことはどうでもいいの
行ってみたい気分なだけ

わかった。
じゃあ、行こうぜ。

立ち上がり、アヤカに手を差し出すタカシ。

大丈夫。1人で立てるから

ぎこちなく立ち上がろうとするアヤカ。

でも

差し出されている手を握るアヤカ。

いい?

頷くタカシ。
互いの視線が交錯する。

2018/04/22

Α-10


なんか、ちょっと天気いいよね
雲はあるけど、途切れ途切れだし、空の方が多いし

ああ、確かに。
ここんとこずっと曇ってたしな。

町って、今どんな感じ?

寂れてるね。
人の気配がほとんどなくなってる。
俺みたいに職を追われた連中がやたらウロついてたときもあったけど、盗みに入ったり、不法入居しようとして、ほとんどドローンにやられてる。

そうなんだ

あの地震が起きる前から言われてたじゃん?
AI革命とか、ほとんどの仕事がAIに取って代わるとか。

それは、なんとなく覚えてる

その影響をモロ受けた連中たちさ。

なんで、そんなことするんだろ
死んじゃう、可能性が高いのに

死にたがってるか、もしくはそんなことまで考えられないくらい余裕がないか。
そのどっちかじゃね?

死にたがってる、はないと思う
それだったら、わざわざ盗みに入ったりとかしない気がする
やっぱり、ちょっとでも生きたいから、だと思う

確かに。

2018/04/11

Α-09


早いね

ああ、そういう気分だった。

まさか、次の日に来るとは思わなかったな

まぁ、この森の近くに住んでるしな。

もしかして、段ボールが捨ててあった、あのアパート?

ああ。

良さげなとこに、住んでんだね

見た目はな。
昨日から電気止まってるし。
ガスはあんま使ってないからよくわからんけど、たぶん微妙。
水道はまだ大丈夫だったけど、いずれ止まると思う。

なるほど

今日は肉はなさげ?

そうだね
今日は、珍しいかも

あれかねぇ。
夜にわざわざやってきて自殺したり、町中に転がってる死体を誰かがご丁寧に運んできたりしてんのかねぇ。

そうかもね
言われるまで、考えたことなかったけど
まぁ、そんな余裕もなかったし

それはそんな気がする。

ねぇ、名前、聞いてもいい?

ああ、俺はミョウジンタカシ。

あたしは、アヤカ
苗字は、忘れちゃった

じゃあ、言わなくていいぜ。
てか、この状況だったらどうでもいいし。

うん
とりあえず、そうする
今日は、帰るの?

う~ん、どうしよっかなぁ。

肉が来るまで、一緒にいる? 

ああ、そうだな。
夕方ぐらいに来るよな?
きっと。

たぶんね

2018/04/08

Α-08


闇に覆われている部屋。
手探りで電気を点けようとするタカシ。
アヤカが段ボール漁りをしていた鉄筋造アパートの2階にある部屋だった。

スイッチの切り替わる音。
しかし、部屋は黒一色のままだった。


蛇口を捻る音。
勢いよく流れる水の音。

2018/04/03

Α-07


意外と美味いんだな、人間の肉って。

そお?
あんま、気にしたことないけど

初めてだからな。
まさかマジで食うことになるなんて思わなかったし。

まぁ、確かに

結構長く食ってる感じ?

あの地震のときからかな

てことは4年ぐらい?

よくわかんない
だって、あのときから毎日同じだし
いちいち何回夜が来て、朝が来て、なんて数えてないし

そっか


さて、暗くなってきたからそろそろ帰るわ。
また腹減ったら来てもいい?

別に、いいよ
ただ、もしかしたら、肉がないかもだけど

まぁ、そのときはそのときってことで。

あ、そう