2017/10/26

041

どうした?なぜ、刺さなかった?」

ルミはキウェインに抱きついていた
投げ捨てられた短刀

「死んでるはず。それはあたしも一緒。あなたは、あたしのお父さんとお母さんを殺した。でも、あたしはあなたに助けられた」

「殺せなかっただけさ。それだけだ。理由は、わからない」

「それ、あたしも同じ。覚えてる?あなたが川岸で倒れてたときのこと」

……ああ。確かに、あのときのオレは、瀕死どころか死んでてもおかしくなかったな。殺そうと思えば殺せただろ?むしろ、殺したかっただろ?」

ルミの体が小刻みに震えていた
キウェインを抱きしめている手に力が入っていく

「でも、あなたを助けたいっていう気持ちの方が強かった

「そうか

宙を仰いでいたキウェインが、ルミを見下ろす
その、震えている小柄で華奢な体躯を抱きしめた

「オレで、いいのか?」

「あなたが、いい」

濃くなっていく闇夜

2人を邪魔するものは何もなかった



-----完-----