「なぁ、そろそろ隠れてないで出てこいよ」
闇の中から現れたのはルミだった
手に握られた短刀の切先が、僅かな明かりを反射していたせいか、白く光っていた
「まさか、コイツと一緒に尾けてたのか?」
キウェインはトリプルワンを一瞥した
ルミは首を横に振った
ルミの眼差しは虚ろで、視界にキウェインは入っていたようだったが、どこを見ているかわからないような目付きだった
キウェインは不敵な笑みを浮かべていた
「ここまでわざわざ来たってことは、だよな?」
ルミの目はガラス玉のようだった
短刀を握っている手に力が入っているのだろう
短刀が小刻みに震えていた
「いいさ、好きにしろよ。オレは、さっきも言ったが、本来だったら死んでるはずの人間だ」
キウェインは両手を広げて目を閉じた
恐怖心や躊躇いを全く感じていないような佇まいだった