キウェインは咄嗟に身をかわした
乾いた音とともに短刀が木に刺さった
「クッ…」
キウェインは右肩を圧迫するように押さえたが、右肩には裂傷が出来ているようで、指先から血が滴り落ちていた
「ククク…。よけるのが遅すぎたようだな。その出方だと静脈切れてると思うぜ?」
キウェインの指先から滴り落ちる血は一定のペースだった
圧迫していても止まることなく出血していた
「…だから、どうした?」
キウェインは、顔色1つ、表情1つ変えずにいた
「静脈でも、切れると縫わない限り血は出続ける。このままだと、出血多量で意識が飛んで死ぬぜ?それとも、今すぐにラクになりたいか?」
トリプルワンは、力の差を誇示するようにニヤニヤしていた
「…アンタの、好きにしろよ」
キウェインは右肩を押さえるのを止め、腕を脱力したように垂らしていた
出血のペースが若干速くなったようだった
しかし、顔色1つ、表情1つ変わらなかった
「フッ、トリプルゼロ。…おまえは素晴らしいよ。素晴らしすぎて…今すぐ殺してやる!!」
トリプルワンは、目に留まらない速さで短刀を、少なくとも2本は投げた
しかし、キウェインの手に短刀が握られることはなかった
「何!?」
トリプルワンの両腕には、間違いなく自らが投げたはずの短刀が刺さっていた
「なぁ…、アンタ、オレになんか投げたのか?だとしたら、動きが遅すぎて欠伸出そうだったぜ」
「クッ…。バカな…」
キウェインは、トリプルワンが投げつけた短刀を受け取り、そのまま投げ返したのだろう
「さて、これで形成逆転だが、どう…」
キウェインの胸にトリプルワンのつま先がめり込んでいた
「言い忘れてたが、オレには足っていう武器もあるんだが?」
キウェインは崩れ落ちるように倒れた
完全に意識を失っているようだった