2017/10/07

023

そこには死体となった両親の姿があった
死体には首がなかった
鋭利な刃物で切り取られていたようだった

幼いルミはただ立ち尽くすしかなかった
変わり果てた両親の姿を見せつけられて、完全に思考停止状態になっていたのだろう

「それ以上見ない方がいいぜ」

キウェインは、背後から目隠しをするように、ルミの両目を押さえた

「!?」

「何も言うなよ。死にたくなかったらな

キウェインは、ルミの喉近くに短刀を持ってきた
その表情は殺戮マシーンそのものだった
ルミは、その尋常でない殺気を感じたのか、小刻みに震えていた

「安心しな。大人しくオレの言うこと聞いてれば殺さねぇから」


ルミは震えが収まらないようだった

「ゆっくりでいい。回れ右しな」

ルミは言われるがままに応じた
実際は回れ左になっていたが、ルミとキウェインが死体に対して背を向ける形になれば、問題なかったのだろう

キウェインはルミから目隠しを解いた
木々に囲まれた一本道と所々に電灯らしき物も見えた

「オレが短刀をしまったら、あの道をそのまま進んで行け。振り返るなよ。いいな

キウェインは、ルミの喉の辺りにあった短刀を引っ込めた
ルミは、涙を流しながら一目散に走って行った


ルミを突き動かしていたものは、両親を殺された精神的ショックや悲しみ以上に、「殺されたくない」という本能だったに違いない