2017/09/28

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アイコはタバコに火を点けていた

タバコは銘柄にもよるが、平均すると約0.1クレジット程度となっており、ここ10年の間に5倍程度価格が高騰していた

これはスラムでも中流階級でも同じだった

国はタバコを市場に流すにあたって、「タバコ税」という税金がかけていた
タバコの原料となる、タバコの葉はそれほど価格が上がっているわけではなかったため、この税率が上がっていることが直接の要因だろう

「キウェインてタバコ吸ってなかったっけ?」

「いや」

「吸ってそうだけどね~」

「よく言われる。まぁ、オレが吸うのは」

「ああ~。ハイハイ、言わなくていいよ」

タバコがスラムでも消費されていたのは、価格がもっと低かった時期の話だ
この価格になってからは、スラムの道路にタバコの吸殻が捨てられることはなくなった



キウェインのスマートフォンにLEDが点灯していた
アイコからメールが来ていたようだった

『今日も良かったぞ!報酬だけど、100クレジット振り込んだからね!』

キウェインにとっては破格の金額だった
また報酬の額としては過去最高だった

アイコとは、逆援助交際という名目で定期的に情事を行っていた
指定される場所は、今回もだったが、高級ホテルのスイートルームだった

この界隈は、キウェインたちがいたホテル以外にも、数多くの高級ホテルが立ち並ぶところだった
車道は片道2車線で、行き交う車は全て高級外車ばかりだった
無論、どの車も制限速度オーバーという言葉が、最初から存在していなかったかのように整然と通行していた

アイコは聞くところによると、年収700800クレジットの夫を持つ既婚者で、結婚を期に会社勤めは辞めたとのことだった
専業主婦という建て前で、遊び呆けているのだろう

彼女の夫は、妻の実態を知っているのだろうか?


仮に知っているとしたら、「仕事に忙殺されていて、勘付いていてもそこまで気が回らない」か「すでに気付いていて、何らかの手段で証拠を集めている」かのどちらかだろう