2017/09/13

■72

俺は真奈美と一緒にシャワーを浴びていた
水滴が垂れている濡れた髪は言うまでもなく、透き通るような白い肌もまた違った色香が感じられた

「お風呂もいいけど、シャワーってのもいいよねぇ~♪」

「そうだな」

「てか、君んちって料理するもの何もないんだねぇ。まさか鍋とかもないとは思わなかったよ」

「料理とか興味ないしな」

「フフ…。ぽいよねぇ」

自炊をする時間が無駄というわけではないが、出来ればその時間をほかのことに充てたいというのが本音だ

「よくさ、映画とかって、こういうとこで始めちゃうよね…。あたしたちもしちゃう?」

「したいんだろ?」

「決まってんじゃん~♪」

「じゃあ、行くぜ」

シャワーは止めずに、真奈美と立った状態のまま1つになった

バスルーム、といってもユニットバスだが、それほど広さがないせいか、真奈美とのキスの音が大音量で響いていた

「なんか、すごいエッチな音になっちゃってたねぇ♪」

「音が響くもんな」

「そだね~」

シャワーは止まっており、今は対面座位の形をとっていた

「お湯入れる?」

「いや。だって、せっかく中で逝っても流れちゃったら意味ないでしょ~?」

「ああ、そうか」

俺はこれからどうなるのだろうか?
今回も全く避妊はしていない状態で、いわゆる寸止めもしていないし、無論体外射精もしなかった

香織と付き合っているときにはまず有り得なかったことだった

「大丈夫だよ」

「ん?何が?」

「あたしに赤ちゃんが出来ても、君は今まで通りで大丈夫だからね」

「ああ…」

真奈美は一体どんな方法で俺の考えていたことを読んだのだろうか?

「あたしが何で君の考えてることがわかったのか知りたい~?」

「そうだなぁ…」

真奈美はニヤニヤしながら、俺の顔を覗き込んできた

「知りたいんでしょ~?気になってしょうがないんでしょ~?」

「まぁ、な」

思わず苦笑いをせざるを得なかった
敵わないと思った
しかし、なぜか妙に心地良かったのもまた事実だった
今まで味わったことのない感覚だった

「フフフ…。答えはね」

真奈美は俺の髪を弄り始めた

「女の勘~。ってのはウソ♪」

「じゃあ、読心術か?」

「ん~。ってのとはまた違うかな」

「もっと単純なこと?」

「うん♪」

全く見当がつかなかった

「わかんないな」

「だよね。だってわかんないって顔してるもん」

「そうか?」

「うん。正確に言うと、顔に出るっていうよりは態度とか雰囲気?に出るって感じかな~」

「へぇ…」

「もしかして、今まで付き合ってきた子とかに言われたことなかった~?」

「そうだな。初めてだったよ。もしかして、それが答え?」

「うん♪あったり~。よく出来ました~」

真奈美は俺の頭を撫でて来た
優しい愛撫だった

「じゃあ、何かご褒美くれるの?」

「ん?チューとエッチだったらどっちがい~い?」

「どっちも欲しいさ」

「もぉ。欲張りなんだから~。でも、なんか体が火照ってきちゃったから、ちょうどいいかな…」

「相変わらずエロいな」

「君もね♪」

まずは口付けから入ることにした
確かに真奈美の体は熱かった
それが益々俺の性的な欲望を掻き立てた

俺はひたすら真奈美を下から突き上げ続けた
真奈美もそれに合わせて上半身を上下に動かした
艶かしくも心地良さそうな真奈美の喘ぎ声が響き渡った
何度聞いても聞き飽きることのない声だった

俺と真奈美の体の相性は抜群にいいようだ
鍵と鍵穴のような関係とでも言えばいいだろうか
挿入するときに全く痛みを感じない

どんなに価値観や性格で共通点が多くても、体の相性がどうしても合わなくて破局するという悲しい事例も少なくないことを考えると、男女の関係はプラトニックな要素だけでは賄えないということなのだろう

無論、肉体的なものが全てというわけではないと思うが…
正直なところ、最初は真奈美をセックスの対象としか思っていなかった
男にとってセックスはセックス以外の何物でもないのだ
見た目が悪いよりは良い方がいいだろうし、可愛くないよりは可愛い方がいいだろうし、美人でないよりは美人な方がいいだろうし、という程度にしか思っていなかった

そんな俺のどこが良かったのか?

ということは真奈美には聞いていないし、聞く気にもならない
ただ、1つ確実なのは、俺は真奈美を以前よりも精神的にも肉体的にも必要とするようになったということだ

家と仕事場を往復するだけのマンネリ化した日々によって、干上がってしまった心に多少なりとも潤いが出てきたのもまた事実だった

そうこうしているうちに真奈美は絶頂を迎えて来ているようだった
そういう俺も今にも白濁物が出てしまいそうになっていたが…

「…出して」

言われるとおりにした
無論、俺も耐えられる状態ではなかったというのもあるが…

しかし、こんなことを繰り返していると、真奈美に生理が来なくなるのも時間の問題だろう
だが、それはそれでも構わなかった

真奈美とだったら一生を共にするのも悪くないと思い始めていた
家族が出来ることに関してはまだ実感がないが…

「ねぇ…」

「ん?」

「生理が来ませんようにって言って…」

「俺が?」

「うん。なんで?とか言わないでね。君から言って欲しい気分なの」

俺が言おうとしていたことを先回りされてしまったが、別に何とも思わなかった

「あっそ。じゃあ…」

真奈美はきっと安心したいのだろう
俺はコールセンター仕込みの相手に安心感を与える声を使うことにした

「今回は生理が来ないと思うから、ご安心を」

「フフ…。ありがと。ホントいい声だね~。大好き♪」

「そりゃ、どうも」

「もっと喋って…」

「何話せばいいの?」

「何でもいいよ…」

「ていうか今喋ってるだろ?」

「あ、そうかぁ~」

さっきのような声で話して欲しいという意味だろうか?

「じゃあ~。耳元で、さっきみたいに名前呼んで…」

どうやら思ったとおりだったようだ
真奈美に言われたとおりにしつつ、耳たぶも舐めてみた

「もう、くすぐったいってば~」

「好きだろ?」

「うん♪大好き♪」

真奈美とのこういったいやり取りも楽しめるようになってきた
昔は、といっても10代や20台前半頃の話だが、異性との他愛のないやり取りを心から楽しむことは出来ない俺がいた

恋愛は所詮、男女のエゴや欲望をロマンティックという名のオブラートに包んでいるものでしかないと思っていた
生きていく上で必要不可欠なものではないとも考えていた
無論、今でもその考え自体は変わっていないが、日常生活に彩りが加わり、より楽しみが増えるという点ではあってもいいかもしれないと思うようになった

大城はMLM一本で稼げるようになったのだろうか?
小松は目標として掲げていた月収1000万円に少しでも近付けたのだろうか?
香織は今までの生き方を見直してみた方がいいかもしれない
自分が何を求めていて、どう生きていきたいのかを再考してみる必要があると思った

未来がどうなるかというのは誰にもわからない
俺が真奈美と結婚するかどうかもわからない
今のままであれば、そうなる可能性は極めて高いが…
なるようになるだろう
なるようにしかならないと言った方が正しいかもしれないが…
しばらくは流れに身を任せてみるのも悪くないのかもしれない…




------完------