2017/09/09

■68

どこからともなくすすり泣きが聞こえて来た
妙に心に突き刺さるような、まるで自分にとってかけがえのない何かを失ってしまったかのような、ひどく悲しげで痛々しい泣き方だった

俺の腕の中にいたはずの真奈美がいなくなっていた
体を起こしてみると、真奈美は俺に背を向ける形で三角座りをしており、顔は当然のことながら伏せていた

どうやらすすり泣きをしているのは真奈美のようだった
しかし、なぜだろうか?
何か悲しませるようなことをしてしまったのだろうか?
初めて抱き合ったとき以上に満たせた状態で終わることが出来たと思ったのだが…

真奈美は顔を上げ、ゆっくりと振り向いてきた
俺が見ていることに気付いたのだろうか?

真奈美の顔が完全に見えたとき俺は思わず目を見開いてしまった
俺の目の前にいたのは真奈美ではなく、香織だった
両目の下はどす黒いクマが出来ており、血の涙を流していた

その表情は悲しみというよりは怨念に近かった
俺は二の句が出なかった
身の危険も感じたが、何かに取り付かれたように体が動かなかった



ハッと目が覚めた
体もビクッと震えた

「どうしたの?」

腕の中にいた真奈美が顔を覗かせてきた
一瞬先程の香織の顔がオーバーラップしたが、すぐに真奈美の顔になった

「いや…。何でもない…」

口ではそうは言ったものの、実際は全く平常心を保てていなかった

「ホントに~?そうは見えないよ。だって、こんなに鳥肌立ってるし」

真奈美は俺の全身を優しくさすり始めた
気持ちが安らぐような愛撫だった

「…怖かった」

情けないことに言葉が出て来なかった
あれは夢だったのか?
あまりにも鮮明でリアルな映像だったせいか精神的なショックが大きかった

「そう…。もう、何も言わなくていいよ」

真奈美は俺を抱き締め、頭を撫でてくれた
ふくよかで温かい胸だった
俺は思わず真奈美に抱き付いてしまった

「可哀そう…。そんなに怖かったんだね…。あたしはどこにも行かないから…。安心して…」

なぜか涙が出てきた
真奈美に愛撫されている安心感なのか、ショッキングな絵に対する拭えない恐怖感なのか、香織に対する申し訳ないと思う同情の気持ちなのか、よくわからなかった

おそらくそれらが全てが一気に押し寄せて来たからだろうとは思うが…

涙は冷たく、塩辛かった
止まることなく、流れ出して来た

真奈美の胸は温かいままで、甘く、ミルクのような匂いに包まれていた

俺は真奈美の肌を舐めた
涙の味がした
真奈美の全身がそれに呼応するようにピクピクと小刻みに震えた

「フフ…。元気出てきたの~?」

俺はひたすら真奈美の肌を舐め回した
ちょうど胸の膨らみとその谷間の部分だった

「…くすぐったいよ」

真奈美は俺の頭を撫でるのを止めて、髪をくしゃくしゃにするように弄り始めた
甘い香りはより濃厚さを増してきていた

舐め回しているうちに胸の膨らみの天辺に小さな突起物があることに気が付いた
俺はそれを口に含み、舌先で弄び、吸ったりした

「あ…」

真奈美は俺の顔を胸に押し付けるようにしてきた
口の中に甘い匂いが広がったような気がした

性器と性器で触れ合うのとはまた違った喘ぎ声が聞こえてきた
一般的に胸の突起物は性感帯と言われている
無論個人差はあるだろうが、どうやら真奈美はこの部位が特に性的快感を得やすいようだ

俺は吸引する強さを高めてみた。真奈美は髪を弄るのを止め、俺にしがみ付いてきた
全身の痙攣は止まることはなく、喘ぎ声の艶やかさは増すばかりだった

妙に気持ちが落ち着いてきた
そして、安らぎも感じた

おしゃぶりがないと情緒不安定になるような時期はもう終わっているはずだったが、とにかく何かを口に含んでいたかった
真奈美が性的な快感を感じている様子を肌で感じたかったというのもあるが…