小松は新宿南口の小田急線改札口近くの柱にもたれかかって、苛立った表情で電話をしていた
「おい真奈美!なんなんだよさっきの写メールはよ。俺はおめえがヤッてるとこなんか見たくねえんだよ」
『え~。見たいくせにぃ~』
電話越しから聞こえてくる小泉真奈美の甘ったるい声
「マコトもいんのか?」
『今はあたしのそばにはいないよぉ~』
「そばには、だと?」
『うん。なんかぁ~。汗いっぱいかいちゃったからお風呂入りたいって言ってたよぉ~』
「…」
もたれかかっている柱を拳で叩く小松
その様子をチラリチラリと見ながら通行人が通り過ぎていく
『もしかして怒ってる~? 別にいいじゃん。あたしは女だし~、マコト君だって男だし~。むしろ健全な証拠だよ。好きな人と抱き合ってたいって気持ちは~、君も同じでしょ~?』
「いや、俺が言いたいのはそういうことじゃねえんだよ」
『じゃあ、どういうこと~?』
「何でビジネスやんねえんだよ?」
『え~。別にいいじゃん。命令されてやるようなことじゃないし~。あ、来た来た』
電話が切れる音
「おい! こら。切ってんじゃねえよ」
電話を架け直すが、虚しく響く呼び出し音
「ちきしょう…」
電話を切る小松
それと同時に真奈美からメールが送信される
「見たかねえんだよ!」