『歌舞伎町近くのプロントに着いた』
携帯電話を見ている大城
トップスハウスを出て左側に靖国通りが見える
信号を渡り、パチンコ・エスパスの近くに目的地はある
プロントの2階奥に4人掛けと思われるやや広めの席に小松が座っていた
「おう。彼はどうよ?」
「ああ。問題ねえよ」
「そっか」
デュポンのジッポでタバコに火を付ける小松
色はゴールドだった
「相変わらず好きだな。インポールが」
「まあな。ただでさえ俺は旺盛だからな。これでちょうどいいんだ」
鼻で笑い、セブンスターを取り出し、100円ライターで火をつける大城
「何度も思うことだけど、お前ってセッターって感じじゃないよな。100円ライターはよく似合うけど」
「うっせ。好きなんだからしょうがねえだろ」
「なら、しょうがないな」
「それはそうとさ。とりあえずこれで1人付いたけど、アイツを稼がした方がいいかそれともまだスポった方がいいか、どっちがいんだ?」
「まあ、両方やった方がいいな。だけど、優先順位的には動員する方が先決だ。しかも、彼の見てる前でだ」
「ああ。見せ付けるってことだろ?」
「そうそう。付き合いが長いなら尚更効果がある」
「へえ…」
「とりあえず短期間、理想では1ヶ月に直紹介を4人以上出せれば、凄いことになる。俺がそうだったし。4人いれば1人は必ず当たりがいる」
「なるほどね…」
「ていうかお前の演技さ、いつも笑っちゃいそうになんだよな。普段の話し方とすげえギャップがあるし」
「それはしょうがねえだろ。まあ、でもそのおかげでアイツにはお前が凄いってのは十分に伝わってるはずさ」
「ああ、それは俺もわかる」
「そういや、真奈美は来んの?」
「いや、来ねえんだよ。あの女、男に走ったからなぁ」
「まあ、あの子だったらそうなってもおかしくねえよな」
「会ったことあったっけ?」
「あるよ。考えるより先に行動するような感じだったよな。どっちかってえとギャル系だったし」
「まあ、それはそれとして問題なのはサイドライン同士ってことなんだ。こういう場合は絶対両方とも潰れるんだよな。しかも真奈美もその男も俺の直紹介だし」
「ふ~ん…」
「まあ、救いはあの女の直紹介の女の子が元気なことだな」
「確か香織ちゃんだっけ?でも、あの子はちょっと感じが違うよな」
「そうだな。最近結構熱いんだよ。普通アップが動かなくなるとダウンも動かなくなるもんだけどな」
「そりゃいいことじゃん。下が稼げりゃお前の取り分も増えるしな」
「まあな」
携帯電話を見ながら顔をしかめて煙を吐き出す小松
「どした? 悪い知らせか?」
「かもな。グループがたくさん出来ると色々とあるもんさ」
「へえ…」
「…俺はもう行くけど、どうする?」
「まだここにいるよ。腹減ったし」
「わかった。じゃあ、また明日な。明神君は俺がバッチリフォローするから」
「よろしく」
小松はルイヴィトンのボストンバックを肩に背負い込んで店を後にした
セブンスターを吸いながらメニューを眺めている大城