はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……
どうしたんだろ……
体が、すっごい重い……
お腹と背中も痛いし……
サヤは足を引き摺るように歩いている。
リュウスケは従来通り業務をこなしているものの、サヤの様子はそれとなく観察していた。
!?
サヤの動きが止まり、力尽きるように膝と両手をつく。
はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……、はあ……
ウソ……
そんな……
もしかして……
「大丈夫か?立てるか?」
肩で息をしながらも、ゆっくりと体を起こし、顔を上げるサヤ。
リュウスケだった。
一瞬だったが、お互いの視線が防毒マスク越しに交錯する。
…どうしよう、なんか言わなきゃ…
スマートフォンを取り出し、何かを打ち込む動作をするサヤ。
怪訝そうに様子を窺うリュウスケ。
…
打ち込みが終わったようで、スマートフォンを差し出すサヤ。
画面には『大丈夫です。すいません、私声帯がダメになっちゃってて、しゃべれないんです』と表示されている。
「なるほど、そういうことか」
ゆっくりと立ち上がり、再びスマートフォンに文字を打ち込み、差し出すサヤ。
『ありがとうございます。ホントは向こうに行きたかったんですけど、戻ります』
「ああ、わかった。気をつけてな」
力なく頷き、ゆっくりと足を引き摺るように戻っていくサヤ。
…