2017/03/12

In the train

電車内は、空気清浄機が回っており酸素が絶え間なく送り込まれるようになっていたが、防毒マスクを外している人間とそうでない人間との割合がほぼ半々だった。

ヨシキは防毒マスクを外すことはなかった。

この未曾有の大気汚染に見舞われるようになったのは1年ほど前だった。
無論兆候はそれ以前から出ており、サヤは2〜3年ほど前から、日によって咳の回数や過呼吸が増えるようになった。

車内の人間は疎らだった。
この1年間、寿命を全うして亡くなる者以外に、大気汚染で命を落とす者、自ら命を絶つ者が激増し、人口は半減に等しい状態だった。

現時点では電車の本数や路線数は以前と変わらなかったが、この状態が長くなるようなら、いずれは半減することになるだろう。