対岸が見えないほどの広さの川。
流れは緩やかだ。
辺りは靄がかかったように黒く霞んでいる。
時折通る車は全てヘッドライトが点灯していた。
防毒マスクにタンクトップ・ハーフパンツ姿のリュウスケ。
手にはスマートフォンが握られており、画面に表示される時刻は8:00となっている。
薄闇に覆われたような空。
太陽は霞んでいたものの、かろうじて見える状態だった。
猫背でうつむき加減なヨシキが足早にやってくる。
防毒マスクに半袖の白ワイシャツ・スラックス姿だった。
「…」
ヨシキを一瞥するリュウスケ。
リュウスケなど眼中にないような素振りでやってくるヨシキ。
…
スマートフォンに視線を移すリュウスケ。
すれ違う2人。
リュウスケは、ヨシキよりも頭一つ分背が高く、腕や足も1.5〜2倍ほど厚みがあった。