2017/11/30

32

死亡事故が発生したその翌日、会社は何事もなかったかのように、平常稼動だった
部長以上の役職者たちは遺族に対して然るべき措置を講じたのかもしれないが

事故の内容が内容なだけに、しばし稼動を自粛する
という流れになるかとも思ったが

なお、通夜告別式は行われたようだったが、朝礼や部署の掲示板等にその手の告知は一切なかった

つまり、参加は必須ではない
とオレは判断した

どこからともなく日時等の情報は耳に入っては来たが

そもそも固有名詞を言われてもオレはその場所がどこに存在するのか?
歩いていくことが出来る場所なのか?

そういったことが土地勘がないため一切わからなかった

無論それがわかったところでオレは参加することはないが


強制でもなければ命令でもないのだから

2017/11/29

31

おまえは人形だ

おまえのカラダは冷たい

おまえの表情は仮面だ

おまえの笑顔に違和感を感じないことはなかった

おまえの胎内は乾燥している

まるで砂漠だ

そこに生命の息吹は感じられない

そこに生命が宿ることはないだろう

おまえは美しい

それは人工的な美しさ

「温もり」という言葉が最初から存在していなかったかのような美しさ

おまえは人形だ

おまえの表情は作り物だ

おまえの周りには干乾びた哀れな蟲たちの夥しい残骸が見える

おまえは冷血動物だ


おまえはオレの美しき売春婦だ

2017/11/28

30

雨が降ってきた

青かった
濃く、そして深い青だった

宙を見上げた
降ってくる雨と全く同じ色

雨足は強かった
地上には瞬く間に水溜りが出来た
降ってくる雨と全く同じ色

オレの体だけなぜか紫になっていた

降ってくる雨に当たるたび、その箇所が紫色に滲む
まるで絵の具の青と赤を混ぜ合わせたかのような
視界に入る世界は何もかもが真っ青


気のせいか?

背後から何かに胸の辺りを貫かれる感触があった

視界に入る真っ青な世界に黒い斑点が出来始める
体がグラつくのを感じた
視界に入る世界が突如真っ暗になった
耳に入っていた雨音が聞こえなくなった
体に当たっていた雨の感触もなくなった
全ての音が聞こえなくなった


あるのは、無の世界に沈み込んでいくという感触だけだった

2017/11/27

29

気が付くとおまえはいつもオレに合わせてばかり
気が付くとおまえはいつもオレの言うこと成すことを肯定してばかり
気が付くとおまえはいつもオレの顔色を窺ってばかり

残念ながらオレは既に気付いていた
それは全て本意ではないということに

おまえは何もわかっちゃいない

そんなことをして、オレの心を掌握できるとでも?
そんなことをして、オレがおまえの意のままに動くようになるとでも?

それは素敵な勘違いに過ぎない

おまえは嘘つきだ
おまえの中身は空洞だ


それは、オレもか



「類は友を呼ぶ」
昔の人はいいことを言ったものだ

オレもおまえと同じ
既に中身はスカスカ
ウソで塗り固めた張りぼてさ
自らを守るためにウソをつかざるを得ないのさ

オレもおまえと同じ

生きる価値のない下衆野郎なのさ

2017/11/26

28

ここはどこだ?

辺り一面無機質でダークグレーな世界

腰の高さまで水に覆われている

無論色はダークグレー

透明感はあるが、底は見えない

水はさざ波立っていたが、空気の流れは感じられなかった

全く

静かだった

静寂とはこのことを言うのかもしれない

視界に入る景色は何1つ違いがなかった

全てが同じ

気が付くと水が胸の高さまで来ていた

さざ波はさっきと変わらなかった

しかし、空気の流れは感じられなかった

ここは全てが同じ

唯一の例外が水の高さ


なのかもしれない

2017/11/25

27

オレの所属先は品質管理室だったが、所在地は工場の敷地内でもあった
無論、オレも仕事柄敷地内を行き来することはあった

その敷地内に製品の原料を置いておく倉庫があった
穀物を扱っていたため、倉庫内はネズミの鳴き声が聞こえないときは皆無だったが

そこを管理している課長職の人間が作業中に転落し、死亡するという事故が起きた

倉庫は少なく見積もっても、高さがオフィスビルの4~5階ほどだった

おそらくは天井付近での作業中に、何らかの拍子に足を滑らせて転落したのだろう

しかも、その際ヘルメット未着用だったことが発覚した
無論、会社側も着用を義務付けてはいなかったが

そもそも不測の事態が発生した際、取り返しの付かない状況となるのを最小限に食い止める措置を取るのは当然の話だ

今回のケースは「本人の過信」なのか「会社側のミス」なのか

いずれにしても、なんと難儀なところに入社してしまったのだろうか


そう思わざるを得なかった

2017/11/24

26

なぜオレを生かしておくのだ?

オレのような無気力で、そもそも生きることに何の希望も感じていない者をこの世に置いておくことに意味などあるのか?

何のために?

こんな生きにくい世の中

まるで生きる屍

オレに何をしろというのだ?

オレに一体どのような使命を与えたのだ?

オレはそんなのは求めていない

まるで「被せられた棘の冠」「背負わされた十字架」のようだ

これらは徐々に、そして確実にオレ自身の体力と精神力を蝕んでいくことだろう

しかも、これらはこの世に生を受ける羽目になったころから体内に埋め込まれているようで、除去することが出来ないようだ

除去しようとすれば、死に至ることはなく、無駄に肉体的精神的な痛みが増えて、そして生かされ続ける


まさに生き地獄としか言いようがない

2017/11/23

25

生徒の学力というか偏差値はその家庭の経済力と関係があるのだろうか?

「私立」と呼ばれる学校は無駄に授業料が高い傾向があり、それに応じて偏差値も高めだ

「公立」と呼ばれる学校でも偏差値の高いところは、そこに入らせるために1番身近な他人たちが塾や予備校にカネを注ぎ込む

まるで、偏差値の低いところは学校としての価値がなく、そこに在籍している生徒も人間失格に等しいような輩ばかり
そんなところに自分の子供を入れてしまったら、自らの世間体に大きく傷がついてしまう

とでも言わんばかりの必死さがある

傍から見ていると滑稽極まりないものだが、オレの親と呼ばれる連中もその中に含まれていた

偏差値云々というかそもそも学校というものに興味のないオレにとっては迷惑以外の何物でもなかった

学歴や偏差値だけで全てが決まることはない

というのが持論だ

しかし、現実的には偏差値の高低が人生全体を決めてしまうという構図は否が応でも存在している

俗に言う一流企業に在籍する連中や自ら事業をやるような人間は、偏差値の高い学校に所属していることが多いのだ

ヨーロッパは階級社会と呼ばれているが、この国も結局のところそのような社会構成になっているのだろう


「成り上がり」「成金」という言葉が存在するのはこのためかもしれない

2017/11/22

24

オレが3年間惰性で通っていた公立高校は東京の清瀬市にあった

住んでいた小金井市からは自転車で30分程度かかる場所だった

無論、小金井市に公立高校がないわけではなかった

オレは学校がキライだが、それと同じぐらいに「受験勉強」もキライだった

小金井市や隣接の武蔵野市は偏差値の高い高校が多く、オレはそういった高校に行けなかったのだ

同じ学区内でも小平市や東久留米市・東村山市・清瀬市にある高校は偏差値が低めで、その中で少しでも偏差値の高そうなところに行くしかなかった

そこが清瀬市にある高校だった

夢も希望もない3年間…

当時の記憶など脳裏の片隅にも残っていなかった
残しておく価値もないほどのものだった、ということだ

とは言え、惰性でも学校に行くという行為を繰り返していればいいのだから、ラクなものだ

この3年間で得られたものは「割り切り」「開き直り」「諦め」だった

2017/11/21

23

中学は私立だったが、高校は公立だった

個人的には「私」でも「公」でも、どちらでもよかった

やることはほぼ同じ

高校は中学の延長線上に存在するもの、というかただ単に中学に毛が生えた程度のもの

「公私」の違いは授業料の違いでしかない

としか思っていなかった

もしかしたら、ほかにも違いはあったのだろうが、それがわかったところでオレの何かが変わることはない

基本的に「学校」と名の付くところは、それが何であれ好きにはなれなかった

所詮やることは受験勉強という名の暗記に偏りきった、生きていく上で何の役にも立たないものばかり

学校側は、「生きていく上で知識が全て」とでも言いたげな様子でこちらを洗脳していくだけ

無論「知識」が必要ないと言うつもりは毛頭ないが、それ以外に必要なものが軽視されていると感じざるを得なかった


そんなオレが授業料の高い「私」に行くことは、まさにカネの無駄遣い以外の何物でもない

2017/11/20

22

オレの配属先は「品質管理室」というところだった

工場で製造・精製されたものの最終チェックやその途中の工程が問題なく機能しているかを成分分析する部署だった

オレはケイコとは違う仕事をしていたが、実際の作業等は同じ室内で行うことが多かった

無論、オレから話しかけることはなかったが、ケイコにとってオレは今まで接したことのないタイプだっただけに物珍しかったのだろう

気が付くとケイコから話しかけられることやスキンシップをされることが多かった

イヤではなかったが、即座にオレの中のオトコが反応するほどの何かは感じなかった

最終的には退職する前日にお互いの中に入り合ってしまったが

そこから何かが始まることはなかった


始めようとも思わなかったが

2017/11/19

21

人間は、人間に限らず全ての生けとし生けるものは、この世に生を受けた時点で死に向かいつつある

生きる意味とはなんだろうか?

生きるということは、その早さは個人差こそあるものの、死への道を進むということでもある

ならば、最初から死ぬことがわかりきっているのに、なぜ生まれる必要性がある?

生きている間に数え切れないほど、資源を食いつくし、場合によっては破壊や殺戮をし、罪なき命の灯火をも消す

何のために?


答えは出なさそうだ

2017/11/18

20

体と体は繋がっているのに、心は繋がっていない

心と心が繋がっていると思っていたのに、体と体を繋げる事で実際には心は全く繋がっていないことに気付く

所詮は他人同士


そんなものだろう

2017/11/17

19

オレにとって無意味と感じるものの1つが大学だった

大学で得たものは何もない

基本的に学ぶことと言えば、「酒・オンナ・セックス」ぐらいしかないだろう

わざわざ高い授業料を払ってまで大学で得るようなものではない

自分の将来を見据えて、それに必要な横または縦の繋がりが得られるのでなければ、行く価値はない

そう思った

オレの通っていた大学は東京世田谷区の経堂にあった

ちょうど小田急線の沿線で、当時は準特急が時間帯によっては停車することがあるという不便な状況だった

気が付くと解消されていたが

おそらくオレと同じように考えていた人間が多かったからだろう

その大学は理系というカテゴリに属していたが、オレにとってはどうでもいいことだった

その結果食品メーカーに就職するという世間体を保つことが出来たわけだが、それに対してナンとも言えない違和感を常に感じていた

目の前に広がる世界は、自分が住んでいる世界とは違う

そんな感覚だった


まるで、現実として認識していた世界が、実は仮想現実であるかのような感覚とでも言えばいいだろうか

2017/11/16

18

辺りは古めかしい洋館が立ち並ぶ場所

既に日は落ちており、目の前に広がるのは漆黒の闇

人の気配は全く感じられない

そもそも生物の吐息が感じられない無機質な空間だった

オレはどこか遠くに来てしまったようだ

後ろは袋小路

壁は高い

前に進むしかなさそうだ

選択肢はいつだって少ない

「この世には無限の可能性が広がる」

この言葉がオレを苦しめる

洋館の周りは高い壁に覆われている

素手で登ることは出来ない

景色は見渡す限り同じ

オレは歩を進めているつもりだったが、果たしてそれは正しいのだろうか

景色は見渡す限り同じ

袋小路が見える

壁は高い

既視感だろうか?

オレはこの場所に見覚えがあった

ふと人の気配を感じたので振り返った

膝をつき、そのまま倒れる人影

既に事切れているようで、体は冷たかった

そして、夥しい数の生傷

いずれも傷口は深かった

しかし、どことなく見覚えのある人物だった


なぜなら、それはほかならぬオレ自身だったからだ

2017/11/15

17

あくまで風の噂なので、真実かどうかは定かではないが

同じ中学だった連中の1人が、中3の時点で未婚の父となっていたようだった

そいつは東京清瀬市にある施設から通っていた

面構えも体付きも既に大人だった

下半身もご多分に漏れず、だったのだろう

相手は近くの中学に通っていたようだった

無論、オレはその手の馴初めを含めた詳細はよく知らなかった
最も、知ろうとも思わないが

そいつは今どこで何をしているのか?

そもそも本当に未婚の父となったのか?

この世に生存しているのか?

相手はその胎内に宿した命をこの世に誕生させたのか?

もしくは人知れず闇に葬り、心と体に大きな傷を抱えたのか?


残念ながら情報が少ないため、詳細は不明だ

2017/11/14

16

オレの通っていた中学校は東京の小平市にあった

小平市と言われて、何を思い浮かべるだろうか?

ハッキリ言って、当時住んでいた小金井市と並んで、東京の中でもマイナーな場所だ

嫌いではなかったが、好きでもなかった

とりあえず、小金井市は退屈な場所だった

現状は独りで生きていくスキルがないので、親元にいるしかなかったが、自分で自分の身を養っていくようになったら、出たいと考えていた


この地で生活することがあるとしたら、人生に疲れて隠居するときぐらいかもしれない

2017/11/13

15

やつら

またいいあらそいをしてやがる

それをしってたらけっこんしてないとか、おれもうまれてないとか

いっておくが

おれにとって、あんたらは1ばんみじかなたにんでしかない

それいじょうでもなければいかでもない

なので、ふうふかんけいをかいしょうするしないはあんたらのもんだいだ

しかし、けっこんとはめんどうなものだな

そもそも、なぜそうやってめんどうになることをやろうとする?

まったくもってひごうりてきだ

けっきょくのところ、てめえじしんのちからでいきていけるようにしておけば、だれかにたよっていきるひつようなどなくなる


ということだろう

2017/11/12

14

ケイコとは結局、その日の前日、最初で最後の肉体関係を持った

連絡先は交換していなかった

その日、偶然帰りが一緒になったので、そのまま住んでいたアパートへ直行した

おそらく偶然ではなく、オレを待っていたのだろう

ケイコはつかなくてもいいようなウソをつくことが多かった

今回も偶然を装っていたが、その際に見せた一瞬の表情に「偶然てのはウソ。元々一緒になるように待ってた」と書かれていた

ケイコの肢体は細身だったが、程よく筋肉がついており、引き締まっていた
無論、触れ合う感触は今までのそれとは異なっていた

オレは思う存分味わった


数時間ほど激しく求め合ったのち、ケイコは自宅に戻った

四日市駅までは半ば義務的に一緒に行った

「その場限りの関係」「繋がっていたのは体のみ」

改札に消えていくケイコの後姿を見て、そう感じた

「身も心も1つになる」


これは所詮、映画やドラマだけのことなのだろう

2017/11/10

13

ケイコは程なくして退職した

予想通りと言えば予想通りだが、退職の仕方は何とも後味の悪いものだった

主任以外にも新たに人間関係を悪化させたようで、それがキッカケとなり、メンタルが崩壊したようだった

壁に拳で穴を空けたり、オレに抱きついて泣き崩れたり

手に負えない状態だった

事前に会社へ退職の申し出をせずに退職せざるを得ない状態だったようだった

無断欠勤し、「自分が精神的に病んだ状態になったのはオマエラのせいだ」という類のことを間接的に会社へ通告してきたとのこと

事態を重く見た総務の部長兼取締役の1人が部署に現れ、オレも含めた全員に事情聴取を行った

その際、オレに対しても「自分のことを面白おかしく無関係な人間に言いふらした」と言っていたことを聞かされた

とんだ濡れ衣を着させられたものだ

オレが必要以上に人間関係を広げることのないタイプだということを知った上での発言なのだろうか?

その日以降ケイコが出社することはなかった
無論、在籍者の名前からケイコが消えたのは言うまでもない

真相は闇に埋もれたまま、今日も組織は稼動を続ける

何事もなかったかのように

2017/11/09

12

距離感が近くなればなるほど離れたくなる

慣性の法則は特に男女関係に当てはまることが多い

肉体関係を持ってしまうと、適度な距離感を保つのが難しいのだろうか?

いや、相手によりけりだな


そうだと思いたい

2017/11/08

11

どうやらオレは中小企業やベンチャー企業のような、在籍人数の少ない組織には向かないようだ
責任の所在や権限に関する諸々などが曖昧なことが多く、動きづらさを感じる

そして、何よりも不可解なのが、在籍者全員がほぼ同じ方向を向いている感じがする、ということだった
何かの宗教団体にいるような錯覚を覚え、不気味だった

確かにオレは常に少数派だったし、どこかに属するということもほとんどなかった
そのため、大企業のような在籍人数の多い組織ではなく、上記のようなところの方が向いていると考えていたが、どうやら違ったようだ
加えてオレは、必要以上に組織への忠誠を強要されたりすることが大キライだった

理想は大企業の中の少人数体制の部署で、決まった時間内に決まった権限の中で好き勝手にやることだが、まだ派遣が存在していなかったご時世だったため、オレの要望は叶えられなかった

正社員かフリーターかしか道がない時代だった
何とも生き辛い時期だった

ふと腕を見た
2~3年ぐらい前にガラスを割ったとき、手首についた傷がまだ残っていた

なぜおまえらはあのままおれをあのよにいかせなかったんだ
おれはこのよにみれんやしゅうちゃくするりゆうなどなかったんだ
おれのめにはゆめやきぼうなどはうつっていないんだ

ただひたすらにはいいろなけしき
みわたすかぎりすなしかないだいち
それがしろになるかくろになるかのちがい

たのむよ
おれをこれいじょうくるしめないでくれよ

ただらくになりたいだけなんだ

2017/11/07

10

いつからかはわからないが

配属された部署の同僚の1人からの視線を頻繁に感じる

オレよりも2年ほど先に入社していたケイコからだった

ケイコは直属の上司でもあった主任職についている人間から不当な扱いを受けていると仕切りに訴えていた

仕事の教え方がほかの人間と明らかに違うとのことだった

「あの人はあたしを嫌ってる」とも言っていた

一時期ノイローゼ的なものを患い、薬のお世話になったこともあったそうだ

オレはひとまず話を聞くだけに留めておいた
なぜなら、この類の話は多分に感情的だ
片一方の主張だけでは実態が判断できないものだ

ケイコは口調に方言があったが、全体的にはいわゆる田舎臭さを感じないタイプだった
オレの必要以上に肩入れをしないスタンスが満更でもないようだった

気がつくと、ケイコと目が合うことが多かった
その目は性的な何かを感じさせる目だった

基本的にオレはケイコに対しては何とも思っていなかった

「実家暮らし」「この土地から出る気はない」「情緒不安定の傾向あり」「彼氏がいる」

これらのキーワードがオレに一線を越えさせる気を起こさせなかった

仮に越えたとしても、その場限りの関係で終わるだろう


深く関わると厄介なことが降りかかってきそうな臭いを感じた

2017/11/06

09

「灰色の記憶」

これはオレの高校や大学時代を象徴するのに最もしっくり来る言葉だった

多くの連中は、「このころが1番楽しかった」を連呼する

オレにはそれが全く当てはまらない

所詮は1番身近な他人たちの求める世間体とやらを取り繕うためのものでしかなかったからだろう

何らかの楽しみを見い出す気がなかった

視界に入ってくる連中が皆同じに見えた

まともに付き合う気すら起きなかった

そもそも義務教育ではない

通う通わないを選択できるということ

しかし世の風潮は、まるでそれらが義務教育であるかのような流れ

そうしなければ生きていけないかのように吹聴し、レールを敷く

残念ながらオレには自分自身で生きていくための手段やスキルがない

かと言って、細胞や心肺機能が停止するということも当分ない

結果的に、「生き延びるためには敷かれたレールには逆らえない」という現実を思い知らされるだけだった

生き延びる?

別にオレは生まれたくて生まれたわけではない

1番身近な他人たちがオレをこの世に誕生させるという選択肢を行使した結果に過ぎない

「生きている」というのは「緩やかに死に向かいつつある」ということ

「生きていれば楽しいこともあるし、何よりも未来がある」

無駄に正義感ぶったオトナたちは、このような知ったようなことを言う

「楽しい」とは何だろうか?

よくわからなかった

少なくとも、緩い連中しかいないこの環境では到底味わえない感覚だということはわかった

オレは何のために生きている?

未来のためではなく、死への道を進むため?


だとしたら、出来るだけ短くしたいものだ