2017/10/10

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電車内に、「20区」への到着を告げるアナウンスが流れていた
どうやら、キウェインは寝過ごしてしまい、「9区」で降り損ねたようだった
ルミとの激しい一夜で、体力の消耗も激しかったのだろう

「この電車、車庫に入りますので降りてくださ~い」

キウェインは駅員の声に従い、車外に出た
目は覚めていたが、思考はほぼ停止している状態だった

電車内に残っていたのはキウェインのみだったようで、ガランとしていた



キウェインのスマートフォンに、メールの受信を知らせるLEDが点灯していた
アイコからだった

『また近いうちに会えるかな?』

おそらく1週間以内、という意味合いだろう

『ずいぶん早いなぁw
 あんだけしゃぶりまくったのにまだ足りないのか?w
 オレだって無限に体力あるわけぢゃねんだぞ?w
 報酬を2倍にしてくれんだったら考えるけどw』

アイコと男女の営みを行うのは、今までは、23週間に1回程度のペースだった
いくら夫の稼ぎがいいとは言え、1回当たりの報酬は、決して安いわけではない
アイコなりの防衛策だろう

『うん。全然足りない報酬も倍にしたげるから、23日中にまた会いたい』

『しょうがねぇなぁ~w
 ぢゃあ、明後日いつもの場所でいいか?
 そんなにオレとやってばっかだとガバガバになるぜw』

『うんじゃあね~

いつになくアイコからの返信が早かった
偶然、すぐにメールが打てる状況だったのかもしれないが



キウェインは、ホームのベンチから「20区」の景観を眺めていた

限りなく貧民街に近いスラム街だけあって、これといった商業施設はなく、かといって「9区」のような住宅街でもなく、殺風景だった

街の様子はどことなく活気がなく、ホームにいる人間たちは、いずれも貧乏神を具現化したような風貌だった

土地の単価が安いということもあり、経済力のない連中が必然的に集まってくるのだろう
活性化する要素がないのは明らかだった

1区」方面に向かう電車が到着していた
構内アナウンスはあったのだろうか

キウェインが聞き逃しただけかもしれないが

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