2017/09/20

006

叢に潜んでいた少女は、体の震えが止まらないようだった
寒さではなく、恐れから来るものだろう

「随分と怯えてるなぁ。そんなに怖いのか?大丈夫さ。大人しくしてれば、すぐにお父さんとお母さんのいる場所に連れてってやるよ」

相手は、おそらく両親を一瞬で殺してしまっているだろう
何人もの人間を、いとも簡単に葬っている殺戮マシーンのはず

「わかったよ。今そっちに行くよ。死ぬ前にオレの姿を拝ませてやるよ。感謝しな。多くの連中はそれすらできずに、亡骸になっちまうんだからな」

少女の前に、音もなくキウェインが現れた
草と体が接触する音、少女の場所に向かってくる足音、一切しなかったのだ

「ひ……」

キウェインは漆黒のボディスーツを身につけており、両目は暗視ゴーグルで隠れていた
口元は無一文字のため、そのマシーン振りがより顕著になっていた

「あ…、ひ…」

少女は、腰が竦み、声も出なくなっているようだった
顔は完全に泣き顔になっており、目には涙が溢れていた
まるで、飼い主に捨てられた子犬を彷彿とさせる、悲しげで円らな瞳だった

キウェインは暗視ゴーグルを外した

顔の輪郭はシャープで、切れ長な目だった
美形だったが、恐ろしく無表情で、黒目よりも白目の割合が多かった
その黒目も、どこを見ているかわからないような目付きだったが、どことなく少女を視界に見据えてはいるようだった

少女は言葉を発することができず、口元は震えていた
すでに涙は止めどなく流れていた

キウェインの足元にある草は黒くなっていた
手に握られた短刀の切先から滴り落ちる、犠牲者たちの血によるものだった

2 件のコメント:

  1. 実際に殺人者と対峙したらと思うと、
    この少女みたいになりそうですね。
    雰囲気的に絶対に殺されると感じてしまうと、
    恐怖で支配されて身体も動きそうにないですね(><)

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    1. ええ、そうだと思いますです

      ある意味心理戦かなと

      逆にこの心理戦に勝ってしまえば、あとは殺人者の思う壺でしょうねw

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