2017/08/23

■51

日差しは昼下がりから夕方に差し掛かろうとしていた
香織はとりあえず落ち着いたようで、泣き疲れていたせいか虚ろな眼差しだった

「私ね…。あの人……小松さんと、つい最近まで体の関係を持ってたの」

「へえ…。付き合ってたわけじゃないんだ?」

「うん…。あの人は結婚してたし、子供もいた。最初はそれでも良かったの。彼と一緒に寝られるだけで幸せだったし、何よりも認められたかった。私にとっての憧れでもあったし、ネットワークをやる上でのモチベーションだったの」

「へえ…」

「でも、何度も肌と肌で触れ合っているうちにそれだけじゃイヤだって思うようになった。このままだと私はあの人にとって単なる都合のいい女でしかないんじゃないかって」

「小松さんにそういう自分の気持ちを伝えたことはある?」

香織は悲しそうに首を横に振る

「言えないよそんなこと…。言えたとしても、俺は妻子持ちの身だからって言われて終わるのは明らかだし…」

「そう、か」

「でも、利用されてるだけの関係だとわかっていても離れられなかったし、彼も私を離そうとしなかった…」

香織が俺と体の関係を持ったのは弱さ故なのだろうか?
それとも小松から離れるためだろうか?
かもしくはオールモストを辞めるための口実に俺を利用するつもりだったのだろうか?
いずれにしても真意は香織にしかわからない

「もしかして、怒ってる?」

「いや、別に…。ちょっと考え事してただけ」

「そう…。何を考えてたの?」

「まあ、色々とね」

「…言い訳に聞こえちゃうかもしれないけど、タカシ君をオールモストを辞めるための口実に使おうとか小松さんから離れるために利用するとかじゃないよ。私はホントにタカシ君のことが好きだから…」

それに関しては嘘ではなさそうだ
ただタイミング的に重なっただけなのだろう

「ああ。それは大丈夫」

「…良かった」

香織は心の底から安心したような表情だった
一般的に女性の方が男よりも感情が表面に出やすい

「ねえ…。体力回復してきた?」

ねだるような表情だった
どうやら第2ラウンドが始まりそうだ

「大分ね」

実際は香織を満足させられるほどは回復していなかった

「じゃあ。今度は私がタカシ君を気持ち良くさせてあげる」

香織は俺の頬を撫でながら、深く唇を吸って来た
思わず呼吸困難になるのではないかと思うぐらい深く、激しい口付けだった

しかし、不思議な安堵感があった
とりあえず香織に主導権を渡してみるのもいいかもしれない

2 件のコメント:

  1. 最初は体だけでも良くても、
    徐々に人、間欲が出て来るものですしね~。
    手に入らないところにあるからこそ、
    触れてみたい、手に入れてしまいたい、
    好きだからこそそういう気持ちも出て来るんでしょうね。

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    1. ええ、それは間違いないと思いますですw

      浮気とか不倫は、いわば背徳行為ですが、当人たちの気持ちは純粋なことが大半だったりかなって思います

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