2017/08/12

■40

俺と香織はようやく中野サンプラザの前で真奈美に追いついた
追いつくやいなや、真奈美はまるで待っていたかのように立ち止まる

「お二人さん。お似合いだね」

真奈美は全く振り返ることがなかったが、声のトーンから判断するに、いたずらっ子のようにニヤニヤしていることだろう

「え?」

一瞬香織の表情にうろたえが出た気がした

「な~んか、並んで歩いてるとすごい絵になるんだよね~。凸凹じゃないし、オシャレだし、ね…」

初めて振り返る真奈美
やはり、いたずらっぽくニヤニヤしていた

一体どのタイミングで見ていたのだろうか?
確かに俺は香織と並んで歩いていたし、気分が良かったのも否定はしないが、真奈美は全くと言っていいほど見向きもしなかったし、歩くペースを落とそうとする素振りもなかったのだ

「そう、かな?」

「あれぇ。今の間は何かなぁ?」

からかうように香織を覗き込む真奈美

香織の表情に困惑の色が出始めて来たのを感じた俺はさりげなさを装ってとっさに携帯電話を見た

時間は10時10分前だった

「もうすぐ時間なんじゃ?」

「あ、ホントだ~」

真奈美も携帯電話を見る

「無理は体に毒だよ。カ・オ・リ」

香織の顔からは笑顔が完全に消えており、視線も地に向かっていた

「大丈夫ですか?」

「気にしないでくださいね。真奈美はああいう子なんで」

どうやら香織は俺の気持ちを気遣ってくれていたようだった

基本的に俺は細かいことに拘らない性格で、人に対して不快感を感じることもなく、実際真奈美に関してもご他聞に漏れずだった

「ああ、お構いなく。どういう子かは今までのやり取りの中でわかりましたし、自分も特に気にしてないので」

「そうですか…。良かった。あの子は馴れ馴れしいところがあるんで」

「まあ、確かに」

香織の顔に笑顔が戻りつつあるようだった
個人的にはさっきの下向き加減な表情も美しいと思った
真奈美にお似合いと言われたのも正直悪い気はしなかったが

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