2017/08/07

■35

朝礼が終わった
どこかの営業会社のように体育会系のノリで今日の意気込みを言ったりするわけではない
対応方法や事務処理の変更があった場合はその内容が告知されるし、部署全体のCSこと顧客満足度の数字や1時間あたりの電話を取った件数を数値化したものが発表されたりするだけだ

亀山は奥の方にある席に座っており、PCの画面を凝視していた

スーパーバイザーの中でも部署全体の数字を見たり、オペレーターの管理をしていたりする人たちがいる場所だ

亀山もたまにいることがある
オペレーターたちがいるいわゆる現場と呼ばれる場所とはまた違った空気がある

亀山の席の横には椅子が置かれていた
俺が近付いて行くとスッと顔を上げた

「座って」

俺は言われたとおりに用意されていた椅子に座った
亀山の机には何やら書面が置かれていた

「まあ、とりあえず始末書ってヤツだ。ここに社員番号と名前書いて。やっぱね。無断欠勤は一社会人として良くないからね。バイト感覚なのかもしれないけど、一応ここは会社だからね」

俺は特に抵抗せずに社員番号と名前を記入欄に書いた
雇われである以上は上に従わざるを得ないというのは会社という組織の中では常識なようだが、個人的にはあまり好きではない
そもそもそういった常識というものは一体誰が決めたのだろうか?

「よし。まあ、別に休むなとは言わないけど、連絡はしような。で、悪い方はお終い。次は良い方だけど、これ見て」

亀山はPCの画面を指差す
そこにはエクセルで作成したと思われるものが出ていた

「これは明神君に対するコメントと評価だね。これはなかなかいいね」

確かに見せてもらった数字は5件ほどだったが、全て100点満点だったし、『問題が解決しました。ありがとうございました』というコメントが書いてあった

「今のところトップだよ。このまま行けば表彰されるかもね」

「何かもらえたりするんすか?」

「賞状と確かクオカードだったかな」

本音を言わせてもらうとクオカードより現金の方がいい
お金は形を変える道具だ
クオカードはそれなりに使える場所もあるので、悪くはないが

「まあ、そんな感じかな。今日もよろしく」

大したことなく終わったので、多少肩透かしな気分だったが、いきなり『今日はもう帰っていい』とか『明日から来なくていい』と言われることはなかっただけマシかもしれない

このご時世何を言われるかわかったものではない

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