2017/04/27

Black rain falling

黒い雨が、土砂降りではなく、梅雨時のようにひたすら降っていた。
薄闇の中に黒い縦線が細かく入っている景観。

雨には大気汚染物質が含まれており、水と化学反応し、不快臭が辺りに充満していた。
また、酸性度も極めて高いため、いつも以上の防護が必要だった。

ヨシキは、防毒マスクにレインコート、ゴム長靴、その上に傘をさして出勤していた。
雨の当たらない場所では常に水滴を払っていた。

リュウスケも同様の格好で出勤していたが、外に出ることはなく、室内の端末でロボットたちが問題なく稼働しているかチェックするのみだった。

ロボットたちは、強酸性の雨に絶え間なく降られても故障することなく稼働できるよう造られているが、不測の事態が起こらないとも限らない。
また、雨が降ると自殺者が増える傾向にあるため、なおさらだった。

サヤは室内で過ごしており、ヨシキとの愛の戯れや手料理作りが日課になっていた。

雨は1週間ほど降り続いた。

2017/04/16

Temporary sweet dream

「ただいま」

ドアが開き、防毒マスクを外しながらヨシキが入ってくる。

待っていたかのようなサヤ。
99%全裸に等しいマイクロビキニを身につけていた。

ヨシキは一瞬驚いたような表情を浮かべるが、すぐさまいやらしく崩れていく。

包み込むような微笑を浮かべ、両手を伸ばすサヤ。

2017/04/15

Beginning of nightmare II

人の入りが疎らな飲食店。
空虚で焦点の合わない眼差しのリュウスケ。

この飲食店は人口減少に伴い、全国各地にあった店舗の大半を閉鎖していた。

「…」

10年前。
住宅街を歩いているリュウスケ。

「!?」

父親と見知らぬ女性が手を繋ぎ、肩を寄せ合い歩いている。
後ろのリュウスケには気づいていないようだった。

「…」



5階建てのマンション。
中に消えていく2人。



物陰から様子を伺うリュウスケ。

エレベーターが閉じていく。
深くキスをしている2人。

「…」

2017/04/14

Beginning of nightmare

事務所内は忙しそうに人が行き来している。

「…」

不安そうな表情のヨシキ。



上目遣いのサヤ。
規則正しく上下している頭。
口で愛撫する音。
不規則に動く濡れた女体。

2017/04/13

Time of force of habit V

壁に掛けられた時計は3時になっている。
床に投げ出されたスマートフォンは無音状態で、画面は何も表示されていない。

固く閉じられていたリュウスケの目がうっすらと開いていく。

「…」

室温は36℃。
それまでは動き続けていたのか、動いては止まってを繰り返していたのか、ずっと止まったままだったのか、冷房は止まっていた。

焦点が合っていないような眼差しのリュウスケ。
空腹を知らせる音が響く。

2017/04/02

Slight difference

サヤは今日も重装備で、日課となっている散歩をしていた。
目の前に広がる光景は、いつもと同じ、薄闇と黒靄に覆われたものだった。
人工知能の産物たちは、今日も、不平も不満も言わずに、与えられた任務を忠実にこなしていた。

…今日はいないのかな。

昨日リュウスケがいたはずの場所には、半袖姿の、ヨシキとほぼ同じ身長の痩せた男がいる。

その男はスマートフォンの画面から目を離すことはなく、周りの様子は全く見ていないようだった。

歩きながら一瞥するサヤ。

男は無反応だった。