そこは、残存していた地下シェルターだった
リオは寝袋で静かに寝息を立てていた
ちょうど10歳になったころだった
「…」
リオと面影のよく似た、母親と思われる女性だった
悲しそうな、別れを惜しむような表情だった
「寝たか?」
父親と思われる男の声だった
「…」
女性の瞳にはリオが映っていたが、次第にその姿は崩れていった
「先に行ってるぞ」
男は、残っていた約1年分の食料が詰まったリュックを背負っていた
生気がなく、静寂に覆われた針葉樹の森
月明かりが葉と葉の間から漏れていた
透明感のある漆黒の池
リオは、寝袋で静かに寝息を立てたままだった
側には、約1年分の食料が詰まったリュックが置かれていた
リオの両親は、セルリアンブルーの水中で抱き合っていた
何も身につけておらず、手首には切り傷ができていた
既に体中の血液が全て流れ出たのか、傷口からは何も出ておらず、全身は蒼白だった