2016/12/03

●4

鮮明だった景観は、黒とプラチナが歪に混じり合った、輪郭がひどくぼやけた不鮮明なものになっていた
水面は、様々な大きさの波紋ができては消えを繰り返していた

「フフフ…」

不鮮明な景観に黒がより多く溶け出してきた

「…その声は」

「そうだよ。ボクさ。不可視物質さ」

「…」

「ダークマターって言った方がわかりやすいかな?」

「…たぶん」

「それはそうと、あの子、名前はアッシェンていうみたいだけど、このまま歩いて行くと、向こう岸が見えないぐらい大きい滝があって、そこにいるみたいだよ」

「…」

「まぁ、信じる信じないは勝手だけど、事実は1つだけさ。空はまた雲行きが怪しくなってきたから、またさっきみたいな雨が降るだろうし、アッシェンにも会いたいだろ?」

「…うん」

「フフフ、なら答えは1つだね」

「…もしかして、見てたの?」

「ボクはいつだって見てるさ」

「…」

「さぁ、急いだ方がいいかもよ。自然は待っちゃくれないからね」

不鮮明で滲んだ景観が次第に鮮明になっていった
日光の帯は消えており、かろうじてできていた黒い雲の切れ目が、微かにプラチナ色になっているだけだった