2016/11/30

●1

アッシェンは振り返ることなく、何かに取り付かれたかのように、同じペースで歩いていた
リオは、加速度的に荒くなっていく息遣いとともに走っていた

大きな水たまり、黒い煤に覆われた大地、限りなく黒に近い灰色の空、プラチナ色をした日光の帯

この景観がひたすら続いていた

アッシェンの歩くペースは変わらなかった
リオの息遣いは声を出すのが困難なほど荒く、目は細まり、焦点もずれ気味だった

体力の限界で足がもつれるのが先か、気持ちの途絶えによって足が止まるのが先か

時間の問題だった

●0

アッシェンが、リオが雨で重くなった衣類に手こずりながらも、なんとか身につけ終わるのを待ってから、歩き出した

「どこ行くの?待って!」

走っているわけではなかったが、アッシェンは足の動きが速かった

リオは走っていた
自身の歩幅と歩いたときの足の動きから、そうせざるを得なかった