アッシェンの両親は、世界崩壊時、甚大な被害を受けた都市部からなんとか逃れ、この洞窟に身を寄せていた
母親は、既にアッシェンを身籠っていた
一命を取りとめたものの、それだけだった
これまで住んでいた場所は、もはや人の住めるような状態ではなかった
無論助けが来ることもない
洞窟内で食料や飲料を調達して延命できるとしても、いつまで持つかわからなかった
父親は自ら命を絶つことを選んだ
母親は、胎内で着実に育っている命もろとも死ぬことはできなかった
洞窟外では有害物質の雨が降り続いていたため、洞窟内で食料と飲料を調達するしかなかった
夫の亡骸にも手を出さざるをえなかった
アッシェンは無事に生まれ、母親は力尽きるように亡くなった