2016/10/17

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そのドアはあっさりと開いた
自動ドアのように

そこは、カナミの内なる力によって、焼き払われた森だった
空は薄暗く、雨が降っていた
黒い雨だった

あの雨だろうか?
明らかに、水以外の化学物質の臭いが辺りに漂っていた
地表に落ちても、何かが蒸発する音や煙が発生することはなかったが…

エレベーターが動いていた
下に向かっているようだった



エレベーターの到着音がロビーに響き渡る
向き直るカナミ
ゆっくりとドアが開く

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カナミは、地下シェルターから出てみることにした
確かめたかったのだ

残留思念が徘徊しているのか
有害物質の雨は降っているのか
そもそも建物自体がどのようになっているのか

そこは、ロビーと思われるフロアだった
しかし、カナミが10年間潜んでいた建物のそれとは、似て非なるものだった

どちらかと言えば、もう1つのセカイにあった研究施設に近かった
ガラス張りのドアもなければ、窓もなかった
広さも100分の1程度だった

照明は、LEDと思われる無機質で白いものだった
配置は最低限だったため、薄暗かった

残留思念が徘徊していることはなかった
それどころか生物の気配すらしない



出入口と思われるドアが見えた
おそらくカードキーやボタン等で開閉可能なタイプだろう
それ以外のドアは、地下シェルターに通じる非常ドアとエレベーターのみだった