2016/10/15

▼79

ぼやけた視界
そこが、これまでいた灰色の空間でないことは、なんとなくわかっていた

空気の流れがあった
灼熱の太陽光が降り注いでいた
土の匂いを感じた

視界は次第に明瞭としてきた
佇んでいる人影が、ミナだと気付くほどに

「お目覚めのようだね」

「…ここは?」

「キミの目で確かめることをオススメするよ」

どうやらうつ伏せになっていたようだ
ゆっくりと体を起こしていく

くり貫かれたような地形が目に付く
あの空間へ誘ってきた湖畔と同じ場所だろうか?
それとも、その対岸だろうか?

「後ろがどうなってるか見てみたら?安心しなよ。ボクは背後から襲ったりしないから」

「そうね…」

思いのほか体力の回復が早かった
カナミは立ち上がり、そのまま向き直った

!!

そのような光景を誰が想像できただろうか?
ついさっきまでは、確かにさざ波1つない青い湖だった

ミナはいつの間にか姿を消していた

▼78

湖畔にカナミが倒れていた
湖面は「深遠な青」のままだった

う…

カナミは意識を取り戻し始める
頭は鈍痛に苛まれ、体は錆付いたかのように動かなかった
唯一の救いは、一糸纏わぬ姿になっていない、ということだった

ミナはその様子をひたすら凝視していた
瞬き1つしない目だった

▼77

カナミは目を覚ました

そこは懐かしい場所だった
10年の歳月を過ごした地下シェルターだったのだ

…裸じゃない!良かったぁ~
それはそうと、ここにいるってことは、戻ってきたってこと?
にしても、なんで体育座りみたいな形で寝てたんだろ…

見たところ、もう1つのセカイに飛ばされる前と変化はなかった

人気はない
自家発電機能は生きているようだった
水道の機能も生きているようだった