2016/09/28

▼59

突如目の前が黒くなった
カナミは目を開いてみた
今度は青一色だった

再び目を閉じてみる
黒一色になった

目を開いてみる
青一色になった

変化はもう1つあった
体が沈み込んでいく感覚がなくなり、地に足が着いた

カナミは足元を見てみる
青一色だった

見た目はさっきと変わらないけど、なんか違う気がする…

目を閉じてみた
再び黒一色になる

今回は先ほどと変化があった
目の前にべヒーモスがいたのだ
出で立ちはファイナルファンタジーシリーズ等に出てくるそれをイメージしてもらうとわかりやすいだろう

!?

思わず目を見開いた
視界は青一色となり、べヒーモスは影も形もなくなった

…今のは、何??

目を閉じたら再びいるのだろうか?
目を閉じてみるカナミ
視界は真っ黒になるだけだった
べヒーモスは見当たらなかった

「何をしているのだ?」

あのべヒーモスだろうか?
カナミは言葉が出なかった
何を言っていいのかわからなかったのだ

「さあ、目を開けるのだ。そうでないと我を見ることは出来ぬぞ」

「…確かに言えてるわね」

目を開けるカナミ
目の前には華奢で小柄なカナミの体が最低でも100個は入りそうな紫色の体躯をしたべヒーモスがいた
周りの景色が真っ青なのは変わらなかったが

「ほう。我を見ても顔色1つ変えないとはな」

「そうね。ここまで来る間に色んな目に遭わされすぎたから…」

「フッ。実に面白い」

「それはそれとして、さっきから気になってたことがあるんだけど、聞いてもいい?」

べヒーモスは黙っていた
カナミの発言を待っているようだった

「ここはどこなの?もしかしてわたしがさっき見た湖の中なの?」

「なぜそのように思ったのだ?」

「それは、わたしたちの周りがあの湖と同じ色だから」

「なるほど…。では聞くが、何色に見えるのだ?」

「青…。上も下も右も左も、全部同じ色」

「そうか…。あの湖は近付いてきた生き物の内側を投影すると言われている。そなたが見ているのは、まさにそなた自身の内面だ」

「わたしの、内面…」

「青には誠実、信頼、落ち着き、平和といった肯定的なイメージ以外では、失望、悲しみ、不安、憂鬱、寂しさといった負のイメージもある。そなたの青はどちらだ?」

「わたしの青、失望・悲しみ・不安・憂鬱・寂しさ、全部当てはまる…。肯定的なイメージは、ない…」

「そうか…」

「ということは、あなたもわたしの内面が具現化した結果現れたの?」

「我はずっとそなたの中にいた。正確にはそなたの細胞に埋め込まれていたのだ」

「…」

「今まではこうやって相見える機会がなかっただけなのだ。その必要もなかったのだがな」

「…」

べヒーモスは黙っていた
「今度はそなたの番だ」と言わんばかりに

「…今までは、わたしが瀕死状態になったときに出て来てくれたと思うけど、これからはそうでないときでも力を貸してくれるの?」

「…」

「ねえ、どうなの?」

「…その話は、そなたがここから生きて出ることが出来てから話すことにしよう。無事を祈る」

ベヒーモスは消え去った

「うっ!?」

口内に水が流れ込んできた
どうやら水中にいるようだったが、頭上を見ると、日光もしくは月光と思われる光が降り注いでいるのが見えた
ひとまずそこに向かえば地上に出ることは出来るだろう

▼58

どこもかしこも青…
上も下も右も左も…

というかそれさえも区別がつかない…
濃淡、色調全て同じ…

進んでいるのかそうでないのか…
浮き上がっているのか沈んでいるのか…

よくわからない…

そもそもここは何なの?
さっきまでは確かに空と湖と地面は分かれてた
それが気付いたら全部湖みたいになってる…

カナミは泳ぐのを止めることにした
抜いていた体の力も入れてみることにした
体が足から沈みこんでいく感覚があった

カナミは目を閉じてみた
なぜか通常は黒くなるところが青いままだった

…意味わかんない

体はそのまま足から沈みこんでいく
体から力を抜いてみたが、浮き上がることはなかった