2016/09/14

▼45

貫かれた胸からは紅い液体が止まることなく流れ続けていた
滝というよりは湧水のように…

太陽は既に10分の9ほど沈んでいた
もうじき月の出番が来ることだろう

カナミは自身の細胞に潜んでいた何かが目覚めつつあるのを感じた

う…
ア、アツイ…

体からは紅い液体が滴り続けていた
常人ならば間違いなく死に至っているだろう
カナミは程なくして意識を失った

▼44

ククク…

あそこはある意味隔離空間なんだね…

アンタ狂ってるよ…

こうなることも計算に入れてたのかい?

木の高さは建物より高いし

木の見た目は全く同じだし

これで方向感覚の狂いを誘発し

そもそも森から脱出しようという本能自体を萎縮させる

それでも効果がない生き物のためにああいう木まで作り出すなんて…

しかし容赦ないよね

あんなことされたら並みの人間は既に死んでるよ

でも相手が悪い…

もうじき内なる力が目覚めるころだ

そうなったら…

…さぁ、おねむの時間は終わりだ

▼43

え!?

さすがのカナミもこれは想定外だった
ここの木は確かに生命の活動らしきものが皆無に等しかった
いや、仮にそのようなものが感じられたとしても、誰が予測できただろうか?

いきなり木の枝が恐ろしい速さで伸びてきて、カナミの胸を貫いたのだ
おそらく貫通しているだろう

カナミは口内が熱いもので満たされていくのを感じた
口から何かが滴り落ちているような感覚もあった

ふと見ると、木の枝が緑の胴体を串刺しにしているようだった
胴体には前脚も後脚もなかった
間違いなくあのライオンだろう

カナミは咳き込みそうになるのをなんとか堪えていた
咳き込むとより状況が悪化するのは間違いなかった
熱いものが止まることなく込み上げてくることだろう

!?

木はカナミをそのまま高く持ち上げだした
無論串刺しにしたまま…
カナミの視界は森全体が俯瞰的に見えるような状況だった

う…
も、もうダメ…

咳き込むたびに熱いものが止めどなく体内から込み上げてくるのを感じた
串刺しにされた部位や開いた口からも熱いものが流れ落ちているのを感じた
まるで川が流れるように…