2016/09/12

▼42

カナミは森の中を歩いていた
どこに向かっているかはわからなかった
ひたすら同じ景色が続くのだから無理もない
当初は木に印をつけようと考えていたが、後戻りできない状況のため無意味と判断した

どのくらい歩いただろうか?
木漏れ日はオレンジ色になっていた
少なく見積もっても夜明けから夕方まで歩き続けていることになるだろう

?…
柔らかい?

足元を見ると緑色の蛇がいた
無残にも胴体の半分ぐらいで切り取られていた
既に事切れているようで、襲い掛かってくることはおろか動き出すことすらなかった
よく見るとその死骸はそこら中に散らばっていた

本体はどこ?
この分だとバラバラにされてそうだけど

その予想は見事に的中した
蛇の死骸を目で追っていくと、切断された脚と思われる部位が転がっていた
保護色の緑だったため、目を凝らさないと見つけるのが困難だった

よく見ると夥しい量の血で大地が染まっていたが、辺りが暗くなり始めているのと、夕焼けの色と同化するような状態だったため、気付かなかった

これは…
昨日の緑のライオン!?

鬣のようにくっついていた蛇はむしり取られたかのようになっており、首は鋭利な刃物で切り落とされたようだった

…すごい血
しかもまだそんなに時間が経ってないみたい
このライオンをここまでしちゃうなんて…
一体どんな化け物が潜んでるの?

おそらくまだこの近くに潜んでいるはずだ
しかし、姿は見えない
無論気配も感じられなかった

カナミも気配を消すようにした
出来るだけ周りと同化することを意識してみた

…やっぱり何かいる

木漏れ日は夕焼けによって紅く染まっていた
無機質な木々がまるで血に飢えた獣のようだった

▼41

程なくして森全体が明るくなってきた
木々の隙間から太陽の光が降り注いできたのだ

気のせいだろうか?
朝陽のわりには光が強い気がした

仮にこの星が月との距離が地球よりも近い位置にあるとしたら、当然太陽との距離も近くなる
その影響だろうか?

…開くわけない、よね

例の研究施設の入口はやはり閉ざされていた
なんとなく、知っていたが再確認したかった
それだけだった

▼40

夜が白みかけてきた
辺りを覆っていた漆黒の闇は消えつつあった

カナミは一睡もしなかった
「寝たい」という欲求が湧き起こらなかったのだ
この状況では無理もない

…夜が明けたらこの森がどうなってるのか探索してみないとね

その夜明けは間もなく訪れようとしていた
視界に木々がかなり明瞭と映るようになっていた

この森は果たしてどこまで続いているのだろうか?
あの緑のライオンと同等、もしくはそれ以上に異形の生物がまだたくさん潜んでいるのだろうか?