2016/08/03

§17

池には橋が架かっていた
ジグザグに横断するような橋だった

真ん中には噴水が設置されていたが、作動していなかった
時間帯によるのだろうか

水面が細波だっていた
微風のためだろうか

いつもは、水鳥や鯉によって多少なりとも賑やかだが、今回は静かだった

白に薄い灰色を混ぜたような雲
日の光りは弱く、雲の切れ目から僅かに漏れてくるだけだった

§16

人気のない、照度不足の街灯が疎らな住宅街だった
戸建、集合住宅は、明かりが点いていないものを探した方が早そうだった
街灯と街灯の間は、彩度や明度の高い色でなければ認識できないほどだった

辺りは無音だった
音という概念が、最初からなかったかのようだった

入り組んだ区画ばかりだった
街灯のない行き止まりも多かった
通りから死角になる、何かが起こっても、誰も気付かないような戸建、集合住宅も多かった

人が、俯せに倒れていた
身につけている衣類は、上下とも白だった

男か女かわからなかった
髪は残らず剃り取られており、目に付く手や脚にも毛らしきものはなかった

§15

シュウの動きは、これまでで1番早く、激しく、情熱的だった
背中に浮かぶ汗は、止まることがなかった

カナエは、シュウの背中や二の腕を力の限り掴んでいた
指が食い込むほどの力で掴んでいた

どこか押さえ気味だった声も、何かが外れたようになった
どこから出たのかよくわからない声だった


静かで、荒い息遣い
汗で光る肢体

日の光り、月の明かり
いずれも届かない部屋

雨が壁に当たる音、雨戸を打つ音
テンポはかなり速かった

§14

葉と葉の間から、日の光りが漏れてくる
木々が生い茂っているためか、日溜まりはわずかだった

スラムでも有数の自然公園だった
緑が多いのはもちろんのこと、中心部には、湖と見間違うほどの池もあった

いつもより人が少なかった
いつもより静かだった

葉と葉の間から漏れてくる日の光りは、冷たく、無機質で、プラチナ色だった
生い茂っている木々のため、よく見えなかったが、雲の切れ目から漏れてくるようだった
雲は、白に薄い灰色を混ぜたような色だった