シュウは、「10区」で一人暮らしをしていた
大学を卒業し、就職とともに始めた
これはシュウ自身で決めたことだった
これまでの人生の中で、唯一と言ってもよかったが、明確な動機はなかった
特に両親と仲が悪かったわけでもなく、価値観や思想、思考に嫌悪感を感じていたわけでもなかったが、好きというほどでもなかった
共稼ぎだったため、家にいることもほとんどなく、いたとしてもシュウと行動パターンが違うため、顔を合わせることも少なかった
血縁関係だが、1番身近な他人であり、不可解な存在
いてもいなくても、さほど変わらないし、影響もない
お互い、そのように思っていたのだろう