2016/07/24

§2

シュウの住んでいる街は階級社会だった
最低年収によって「上流」「中流」「スラム」「貧民」となっていた

シュウは「スラム」の住人だった
年収は約300クレジット(※)で、500クレジット以上になると「中流」に、1000クレジット以上になると「上流」に、なるのだった

なお「スラム」の中でも、年収が200クレジットに満たない者は「貧民」として扱われ、荒廃した無人の雑居ビルばかりの、衣食住や労働環境が無きに等しい、劣悪な環境に強制的に送り込まれるのだった


このため脱出を図ろうとする者ばかりだったが、成功例はほぼ皆無だった

「貧民街」と「スラム街」には境界となる森があり、自治体は24時間体制の監視場を設置していた
脱出をしようとした「貧民」たちは、ここの監視員によって殺戮されていたのだ

しかしこういった情報は、自治体の隠蔽工作によって、明るみになることはなかった

今この瞬間にも命を落としている「貧民」がいる
というのは、紛れもない現実だった


(※)1クレジットは、日本円にすると10000円に相当します

§1

高架下は、右側と左側で明るさが極端だった
特に左側は、街灯が1つもなく、人気のない、明かりが点くこともない雑居ビルや集合住宅ばかりだった

高架上にあるのは高速道路だろうか
自動車が行き交う音が、耳障りな騒音に変換されて、高架下に流れてくるのだった

シュウは右側を歩いていた
あてもなく歩いていた

こちら側の景観も左側と同じだった
相違点があるとしたら、街灯があるかどうかだった
その街灯も、あるとしても疎らで、照度も不十分だった

シュウの眼差しは虚ろだった
すぐ目の前に何かがあったとしても、認識しないだろうと思われた

しかし足取りは、それに似つかわしくなくしっかりしており、歩く速度も速かった

§0

日が昇る
無機質で、プラチナ色だった

廃墟のような街並
冷たい光に照らされ、影のように黒い、所々崩れ落ちたビル群

この街には人気がなかった
最初からそうだったのか、元々は栄えていたが、何らかの理由で崩壊しそれに伴って人気がなくなったのか

そのどちらかだろうが、正確なところはわからなかった

何が起こったのか?
なぜこのような景観となったのか?
いつから?
だれが?
どのような手段が用いられたのか?


あくまでも事実は1つだけだった
廃墟のような街が存在する、という