2016/12/03

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鮮明だった景観は、黒とプラチナが歪に混じり合った、輪郭がひどくぼやけた不鮮明なものになっていた
水面は、様々な大きさの波紋ができては消えを繰り返していた

「フフフ…」

不鮮明な景観に黒がより多く溶け出してきた

「…その声は」

「そうだよ。ボクさ。不可視物質さ」

「…」

「ダークマターって言った方がわかりやすいかな?」

「…たぶん」

「それはそうと、あの子、名前はアッシェンていうみたいだけど、このまま歩いて行くと、向こう岸が見えないぐらい大きい滝があって、そこにいるみたいだよ」

「…」

「まぁ、信じる信じないは勝手だけど、事実は1つだけさ。空はまた雲行きが怪しくなってきたから、またさっきみたいな雨が降るだろうし、アッシェンにも会いたいだろ?」

「…うん」

「フフフ、なら答えは1つだね」

「…もしかして、見てたの?」

「ボクはいつだって見てるさ」

「…」

「さぁ、急いだ方がいいかもよ。自然は待っちゃくれないからね」

不鮮明で滲んだ景観が次第に鮮明になっていった
日光の帯は消えており、かろうじてできていた黒い雲の切れ目が、微かにプラチナ色になっているだけだった

2 件のコメント:

  1. 質量があるのに不可視なもの…我々の世界にあるものと別の構造を持つ存在を「ダークマター」或いは「反物質」と言います。
    でもよく考えてみれば、我々の世界にも質量を持ちながら不可視な存在…紫外線、赤外線、電波、磁力線、重力線などがあります。
    そう考えると、ある意味我々はダークマターと共に暮らしてる様なもので、物理学者が追ってるものは特殊な存在ではないかな?そう思ったりします。
    何となれば、この世界に水素~ウランまでの多種多様な元素がある様に、ダークマターにも多種多様な元素があるはずですよね。
    物理学者はその中の一種類…例えば水素だけを追っ掛けてる。それじゃぁ見つからないのも無理はないんではないかな…と(笑)

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  2. 確かにそうですねw

    以下によれば、ダークマターは「質量は持つが、電磁相互作用をしないため光学的に直接観測できず、かつ色荷も持たない」という物質だそうです
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E9%BB%92%E7%89%A9%E8%B3%AA

    自分はこの中で「電磁相互作用をしないため光学的に直接観測できず、かつ色荷も持たない」の箇所に目をつけて、このタイトルをつけました

    そして、書いた当時もなんとなくですが、sado joさんがおっしゃる、我々はダークマターとともに暮らしてるか?というのはうっすらと思ってましたね

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