2016/12/19

●12

「!?」

「ずいぶん元気だね。ずっと起き上がらないから、動けないのかと思ったよ」

リオは上半身を半分だけ起こし、飛び退くように後退った
一糸まとわぬ姿のアッシェンが、四つん這いの体勢をとっていた

「…」

リオの眼差しには敵意と怯えが込められていた
右手は胸を、左手は下半身を隠していた
両脚は摺り合せるような形になっていた

「フフフ。そんな目で見たってムダさ」

アッシェンは四つん這いの状態で、じりじりと近づいてきた
あくまで、敢えてそのようにしているかのようだった

「…」

リオも、アッシェンから目を離さずに、同じ体勢のままじりじりと後退った
溢れていた赤黒い涙は、途切れることなく流れ続けていた

「ねぇ、なんでボクがこんな体勢でいると思う?それと、キミはなんで両足で立たないの?」

アッシェンの口元には歪んだ笑みが浮かんでいた



リオの背中が壁に当たった

「それはね…」

アッシェンはリオの両脚を押さえた

「まだ意識が回復してそれほど時間が経ってないから、体が言うこと聞かないってこと」

「…」

リオは見る見る泣き顔になり、唇は小刻みに震えていた

「フフフ…。キミもかわいいね…」

アッシェンの手が摺り合わされた両脚を開こうとしていた

「いや!!」

リオは右手で平手打ちを浴びせた
アッシェンは顔を左に向けたが、全く意に介していない様子で、すぐに元に戻した
両脚を開こうとしているのは変わらずだった

「いや!!いや!!いやッ!!!!」

平手打ちは、両手で何度も浴びせられた
アッシェンの顔は、その都度左右に向けては戻しを繰り返していた

洞窟内には、リオの声と平手打ちの音が反響し続けていた

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