2016/07/25

§6

シュウは失職者だった
勤務先からの収入は、失職した月のものが支払われる、翌月までだった

まるで敷かれたレールを進むような24年間だった
自分自身で何かを選択する、ということがなかったのだ

両親は高校中退者で、共稼ぎで、年収はやっと400クレジットに届くかどうか、という状態だった
そのためか、学歴が年収に直結すると信じてやまないところがあり、シュウもそれに抗う理由がなく、スラムの中でも偏差値が高い大学を卒業した

その大学も、いわゆる一貫校で、中学校の入学試験で合格してしまえば、大学までのレールは保証されたも同然だった

シュウの収入源は勤務先のみだった
自治体は収入が途絶えると、問答無用で貧民街に送り込むと言われていた

今は、ちょうど最後の収入が支払われた月だった

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